定年後の生活費は、諸説ありますが夫婦2人で22万円とも言われています。
定年後の生活費は、現役時代の職種や年収によっても異なります。
定年前から定年後の生活設計を考えておくことは大切です。
しかし、現実に定年退職を迎えるとそれまで考えていた定年後の計画の修正も必要になってきます。
定年後の60代で再度定年後の生活設計を見直して豊かな暮しにつなげましょう。
この記事では、「老後」と「定年後」の言葉を「定年後」に統一して書いていきます。
定年後の生活費『夫婦2人で平均毎月22.1万円』?

定年後の生活費を試算した事例は、たくさんあります。
ある人は「月に12万円あれば生活できる」というし、「いやいや、30万円はないと無理だ!」という人もいます。
住む家や定年後の収入、或いはライフスタイルなどの違いによって様々であり、どれが正解とも言えないのが定年後の生活費ですね。
公益財団法人「生命保険文化センター」では、公正・中立な立場で生活設計と生命保険に関する情報を提供しています。
その中で定年後(老後)の生活費に関する調査データを引用して紹介してみます。

出典 (公財)生命保険文化センター「生活保障に関する調査」/令和元年度より https://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/oldage/7.html
この調査によると定年後(老後)に「最低限の日常生活」を送るうえで必要な夫婦2人の1カ月の生活費は、22万1千円となっています。
詳細がどのようになっているのかは、良くわかりませんが、意識としては総額22万1千円は必要だろうという調査結果です。
さらに、この調査では「ゆとりある定年後(老後)の生活費には、あといくら上乗せしたいか?」を調べています。
それによると、「あと14万円」あるとゆとりのある定年後の生活が送れるという結果なのです。
その14万円の内訳は次のようです。

旅行やレジャー、趣味や教養などがトップをしめています。
確かに、最低限の生活費だけでは、楽しく生き甲斐のある定年後の生活は送れないという事でしょうか。
生活費だけでは、息が詰まってしまうかもしれませんね・・・
定年後の『実際の生活費』の調査
定年後の生活で費目別にお金がどれくらいかかるのかを試算したデータが総務省にあります。
この調査は、高齢夫婦で無職世帯を調査したものです。
対象は、夫 65 歳以上,妻 60 歳以上の夫婦のみの無職世帯です。
出典先:「家計調査報告(家計収支編)2018年(平成30年)II 総世帯及び単身世帯の家計収支」
表2 高齢夫婦無職世帯及び高齢単身無職世帯の家計収支 -2018年-https://www.stat.go.jp/data/kakei/2018np/gaikyo/pdf/gk02.pdf
高齢夫婦無職世帯の場合
・光熱・水道:19,905円
・住居:13,625円
・家具・家事用品:9,385円
・被服及び履物:6,171円
・保健医療:15,181円
・交通・通信:28,071円
・教育:2円
・教育娯楽:24,239円
・その他:53,717円
消費支出計:月235,615円
60 歳以上の単身無職世帯の場合
高齢単身無職世帯の場合です。60 歳以上の単身で無職の世帯を対象にした調査です。
・住居:18,268円
・光熱・水道:13,109円
・家具・家事用品:4,780円
・被服及び履物:3,766円
・保健医療:8,286円
・交通・通信:14,405円
・教養娯楽:17,082円
・その他:33,528円
消費支出計:月149,603円
定年後のゆとりある生活とは?

定年後にゆとりある生活をしたいなら、最低限の生活費に10~15万円の上乗せが必要だということになります。
定年後の生活の現実はどうでしょうか?
実際に定年退職をして無職の場合は、夫婦2人で月に住宅ローン無しの場合、約15万円前後が最低の生活費だと私は感じています。
生命保険文化センターの意識調査は、老後の生活費が22万Ⅰ千円で、ゆとり生活分の上乗せが14万円で合計36万Ⅰ千円です。
現実に定年後の生活をしている私が感じるのは、夫婦人で月34万円の定年後の生活は「超豪華な生活」です。
生命保険文化センターの意識調査は、18~69歳の男女個人が調査対象なので、定年を迎えていない方も含むデータとなっています。
なので「定年後(老後)がこんな生活だったらいいな」という希望的は数字とも捉えられます。
一方、総務省統計局の調査対象は、夫 65 歳以上,妻 60 歳以上の夫婦のみの無職世帯です。
夫婦2人の実際の生活の金額を調査したもので月235,615円なので現実味があります。
60代がベースの定年後の生活費の設計とは?
まだ、定年退職前の段階で定年後に必要な生活費の試算レベルは、現役時代の生活がベースとなっていて、実際に定年後の生活している世帯とは乖離していると思われます。
様々な専門家やアドバイザーが定年後の資金や生活費を試算していますが、定年後の生活を実体験して肌で感じている専門家は少ないのではないかと思います。
多くの高齢者は、月20万円前後の生活費でも恵まれている方です。
実際にはやりくりの年金生活を送っているのが現実ではないでしょうか。
60代になって初めて自分の現実の生活が分かってきます。
実際にやりくりをしながら生活をする中で「60才の定年後の実情をベースにして」見直しが必要と感じます。
これからこれから先、65才、70才、75才、80才と時系列で、まさに「老後の生活」を考えてみると、現実が見えてくるのではないでしょうか。
70代になると食べなくなるので食費も減り、体力も落ちてきて歩くのも辛いので旅行も国内の近場となり生活費も安くなります。
レジャーや旅行は、体力もお金も黄金時代の60代が行ける年代ではないでしょうか。
一方70代を過ぎると、新しい不安材料として医療費や介護の問題にお金の使い道は変ってきます。

ゆとりある定年後の生活を送るための「旅行やレジャー費」に月14万円を加算する生活費の試算...
実際の生活で月34万円の生活費は「介護になったら不足」ですが、普通の生活なら「ゆとりを超えて」かなり贅沢かもしれませんね・・・
本当の老後は、平均寿命と健康寿命の間の10年前後をどのような生活費で暮らすかの計画なのでしょう。