東京の感染者数が4月29日、30日と2日連続で50人を下回る数字から少し安心している方もいるかも知れません。
しかし本当にそうでしょうか?
新型コロナ感染の検査方法に「PCR検査」があります。現場の努力でようやく検査体制が前進してきました。
しかし、世界の中では圧倒的に少ない検査実績に対し危惧する声が聞こえてきます。
日本独自の検査体制なのです。
日本ではPCR検査を政府や専門家会議で当初の検査方針で絞ったのです。このため実態を把握することは難しく、その結果「市中感染の広がり」が心配されてきました。
さて話題の「抗体検査」が東京のクリニックで行われました。テレビに良くご出演されている久住医師が理事長を務める新宿と立川のクリニックで行われました。
4月21日~28日に男性123人、女性79人を対象に行った結果、驚くべき数字が出たのです。
今回の抗体検査からどの様なことが推測されるのかを慶応大学病院で行ったPCR検査結果を交えてポイントを3つに絞りまとめてみました。
その②:慶応大学病院のPCR検査と抗体検査結果の比較
その③:市中感染の実態
その①:新型コロナの市中感染とは?
簡単に説明すると感染には大きくわけて市中感染(市中感染症)と院内感染(院内感染症)があります。
市中感染
市中感染は、社会生活をしている健康な人におこる感染症としています。
市中感染症とは、社会生活をしている健康人に起こる感染症で、多くは外因性感染症を指します。
引用:時事メディカル
今回の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)での市中感染は通常の生活を営みながら感染していることを指します。
院内感染
市中感染に対して院内感染という言葉があります。医療関係者や感染症以外の病気で入院・入所している患者・入所者に感染する場合です。
この市中感染と院内感染の2つの用語が良く使われるので簡単に説明しました。
その②:抗体検査とPCR検査の結果を比較
久住理事長の2つのクリニックで行われた「抗体検査」と慶応大学病院で行われた「PCR検査」の結果を比較してみます。
1.クリニックの抗体検査
・実施月日:2020年4月21日~4月28日
・検査対象:ホームページで募集した希望者
・年齢:20~80才
・男性:123人
・女性:79人
(合計202人)
以下のような方が含まれていました。
- 一か月以内に発熱があった人:52人
- 同居者が新型コロナ感染者:2人
- PCR検査を受けた人:9人(内1人:陽性)
検査キット:クラボウが輸入した試薬キット
検査結果について
・全体(202人):12人が陽性(5.9%)*男6人、女6人
(内訳)
・一般市民(147人):7人が陽性(4.8%)
・医療従事者(55人):5人が陽性(9.1%)
久住医師は「現行のPCR検査で判明する感染者よりはるかに多く感染している可能性が高く、確実にまん延していると言える」としている。
参考データ:東京新聞Web
厚生労働省が抗体検査の実施を決めた。
厚生労働省は正確な流行状況を把握するため、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査の実施を決めた。またこれとは別に感染の有無が早く分かる抗原検査も導入する方向で検討している。
2.慶応大学病院のPCR検査
・実施月日:4月13日~4月19日
・検査対象:術前および入院前PCR検査。新型コロナウイルス感染症以外の治療目的で来院した無症状の患者67人
これらのPCR検査結果では次の陽性者がでました。
検査結果について
同病院では「これらは院外・市中で感染したものと考えられ、地域での感染の状況を反映している可能性がある」と見解を示している。
その③:市中感染の実態
一般の患者で5.97%が陽性だった慶応大学病院のPCR検査結果と久住理事長のクリニックで実施した抗体検査で陽性となった率5.9%が似ています。
クリニックの交代検査:陽性率5.9%
これら公表されたデータから市中感染が進んでいると思わざるを得ません。
厚生労働省は正確な流行状況を把握するため、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査の実施を決めました。
抗原検査
また「抗体検査」とは別に感染の有無が早く分かる「抗原検査」も導入する方向で検討しています。
「抗原検査」はウイルスを形作るタンパク質を検出するもので、鼻の奥の粘液を取ってその場で検査できるなど簡単で、短い時間で結果が出ることなどからインフルエンザの検査でも広く使われています。
市中感染の推測
今回の抗体検査と慶応大学病院でのPCR検査の比較から国内では市中感染が広まっている可能性が否定できないことがわかりました。
感染者が最も多い東京の2020年4月30日午前10時半の感染者数は4,106人です。
単純に東京都の人口1,390万人にPCR又は抗体検査での感染率5.9%を掛けると82万人になります。
久住先生の東京新聞WEBの記事では、原因不明の死者が増えていることからもPCR検査を拡大して速やかに診断し早期に治療を開始すべきだと述べています。
また、東京の順天堂大学では「当初の感染者は保健所からの依頼だけだったのが今では飛びこみの感染者が三分の一を占める」と新井一学長は述べています。
実感として市中感染がひろがっていると感じているようです。(参考:東京新聞Web)
まとめ
世界からも日本のPCR検査数が圧倒的に少なく新型コロナの市中感染が広まる事への懸念がありました。
公表されている感染者数は、氷山の一角となることが想定されます。
新型コロナ感染の収束までは外出自粛の長期化と3密を避けてマスク・手洗いのさらなる徹底が必要となるようです。