新型コロナの第2波とはどのようなものなのか?
1918年のスペイン風邪の第2波ではどの様な状況が起きたのかを参考に現代での状況を調べてみました。
新型コロナウイルス感染症の第2波について以下の3つのポイントから紹介します。
その②:第2波は来るのか?
その③:第2波への準備
その①:新型コロナの第2波とは?
世界的に感染が拡大(パンデミック)した新型コロナウイルスは世界の多くの国でピークを超えつつあります。
日本でも、1日の新規感染者数は4月11日の720人をピークに、5月13日には55人まで減少しています。(NHK日本国内の感染者数、クルーズ船除く)

では新型コロナ流行の第2波とはどのようなことなのでしょうか。
現在では北海道で第2波が発生していると言われています。グラフを見ると第1波よりも多くの感染者が出ています。

札幌医科大学医学部の當瀬(とうせ)規嗣教授によると「第2波は到来した」と述べています。
第2波の要因の一つは、「3月に感染流行のまっただ中にあった欧米から帰国した人によってウイルスが持ち込まれた」ことと、もう一つは、「年度末の異動や転出入の時期にあたり、首都圏と道内の往来が起きたこと」によるものだと分析しています。
無症状の感染者が増えたことで新たなクラスターを形成してしまったのではないかと述べています。(参考:朝日新聞デジタル)
インフルエンザ・パンデミック過去の事例
世界における過去の例を調べてみると次のように発生したことが分かります。
インフルエンザ・パンデミックと考えられる流行が科学的に記録され始めたのは20世紀(1900年代)に入ってからだと言われています。
流行が1年のタイムスパンで第3波まであった通称スペインかぜを調べてみました。
第1波:高い感染性
スペインインフルエンザ(通称スペインかぜ)第1波は1918年の3月に米国とヨーロッパにて始まりました。北半球で春と夏に発生した第一波は感染性が高かった割には致死性ではなかったとされています。
第2波:10倍の致死率
その後フランス、シエラレオネ、米国で晩秋から同時に始まった第2波では10倍の致死率となりました。
死亡者の多くは15~35歳の健康な若年者層(99%が65歳以下)に発生したと記録されています。
その後1919年の冬に第三波が起こり、1年の内に3回の流行が発生しました。一部の研究者の間ではこの第2波はウイルスの変異によって発生したと考えています。
その②:第2波は来るのか?
今回の新型コロナウイルスによるパンデミックではスペインインフルエンザのような大規模な第2波には至っていませんが、過去の例からそのリスクは皆無とは言えないようです。
場合によってはウイルスの変異等で第2波での感染による影響の方が大きいリスクも抱えていることになります。
米疾病対策センター(CDC)の見解
米疾病対策センター(CDC)のロバート・レッドフィールド(Robert Redfield)所長が4月21日に米ワシントンポストの取材で明らかにした内容では「もし新型コロナの第2波が米国内で発生すれば、インフルエンザの流行初期と重なる可能性があり、今回よりもさらに甚大な被害をもたらす恐れがある」と述べています。
この冬の新型コロナの第2波を想定していることが分かります。
■ワシントンポストCDC
「director warns second wave of coronavirus is likely to be even more devastating」
現代は交通の発達等で地球が時間的にも狭くなっていてスペイン・インフルエンザ時代とはその移動スピードが大きく変化しています。
中国武漢では新たな新型ウイルス感染者が出ており、韓国でも行動を緩和したところソウルのクラブでクラスターが発生し対策を急いでいます。
世界では第1波の収束に至っていない段階でロックダウンの緩和にシフトを開始すれば人の移動が増えて、そのことによる感染の第2波につながる危険性も指摘されています。
その③:第2波への準備
世界保健機関(WHO)は2020年4月24日「新型コロナに一度感染して抗体を保有しても、第2波の感染を防げる証拠はまだない」との見解を示しています。さらに移動制限の解除について「段階的に状況を見ながら進めること」を推奨しています。
最終的に収束するには、多くの人が新型コロナに感染して集団免疫を獲得することや新型コロナ向けワクチンが認可されることにかかっているようです。
まだ分からないことが多い新型コロナウイルスですが感染予防の備えと感染拡大を回避する行動を取っていくことが今は重要です。
おわりに
新型コロナの第2波について紹介しました。過去の歴史を見るとウイルス感染では第2波のリスクがあることがわかりました。
準備して正しく対処していきましょう。