世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は3月23日に記者会見を行いました。世界全体で感染者が30万人を超える新型コロナウイルス感染症について、
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイエスス事務局長は23日、新型コロナウイルスの感染者数が世界で30万人を超えたことを受け、パンデミック(世界的流行)が「加速している」と警告した。
引用:BBC : News Japan 3月24日電子版
とで危機感を表明しています。
世界でのパンデミック加速の中で各国政府は対策に奔走しています。
対策のポイントは①「感染拡大のスピードを落とす」ことで、②「医療機関への負担を軽減」して、③「人々の行動を制限して不要な接近や接触を控える」ように進めることです。
この対策のなかで聞きなれない「社会的距離戦略」という言葉を最近耳にします。「社会的距離戦略」とはどの様なことのかをこの記事で簡単に説明します。
■2020年5月5日:WHOが「社会的距離」を「物理的距離」に変えた理由
社会的距離戦略の意味
「社会的距離戦略」を知ることで、私たち個人が新型コロナのパンデミックから身を守ることができます。それは結果として社会への感染拡散防止行動にもつながる重要な考えなのです。
感染症とは?
本題に入る前に「新型コロナウイルス感染症」の「感染症」について確認しておきたいと思います。
「感染症」と「感染病」の違い
調べたところ過去の慣例では、病原体が特定されている疾病を「感染病」と呼び、特定されていない場合を「感染症」と呼んでいた時代があったようです。現在は「感染症」と呼ばれています。
新型コロナウイルス感染症に対する社会的距離戦略を説明します。
社会的距離戦略の目的と行動
社会的距離戦略(Social Distancing:SD)とは、感染症の拡散を止めたり拡散のスピードを減速させる行動のことをいいます。
社会的距離戦略の目的
①感染症を患っている人と感染していない人との接触の可能性を減らす。
②病気の伝染、罹患率、死亡率を最小限にする。
また、自身がパンデミックの中に身をさらす危険性を抑制することも可能となります。
次に社会的距離戦略が対象とする「感染経路」について確認したいと思います。
感染経路は「垂直感染」と「水平感染」の2種類
病原体が体の中に侵入する経路には、大きく分けて垂直感染と水平感染の2種類があります。
垂直感染
妊娠中、あるいは出産の際に病原体が赤ちゃんに感染することをいいます。一般的に“母子感染”といわれています。
水平感染
感染源(人や物)から周囲に広がるもので、接触感染、飛沫感染、空気感染、媒介物感染の4つに大きく分類することができます。
特に水平感染の中の「飛沫感染」には「社会的距離戦略」の効果が高いといわれています。
社会的距離戦略のメリット
飛沫感染に効果
社会的距離戦略は、飛沫接触(咳またはくしゃみ)を介して感染する場合に最も効果的なことです。
社会的距離戦略のデメリット
感染が主に汚染された水や食物を介して、または蚊や他の昆虫などの媒介物によって伝染する場合はあまり効果が期待できません。また、孤独感、生産性の低下などのデメリットがあります。
社会的距離戦略の具体的行動の事例
・学校の閉鎖(特にこどもは難しい)
・職場閉鎖(テレワークへ移行)
・スポーツイベント、映画、ミュージカルショー等の大規模集会の中止
・大量輸送の停止または制限
・大型レクリエーション施設の閉鎖(TDL等)
・対面接触の制限(スマホを利用した診断)
・公共の施設(人ごみ)を避ける
・握手をやめる
・他・・・
社会的距離戦略は不要不急の接触を最小限に抑え,人が密集する環境に身を置かないことで感染のリスクを軽減することができます。
個人として社会的距離戦略を応用することができます。
例えば食料品をスーパーで買う回数を毎日から週1回にすると人ごみを避けることができます。人との距離を2m開けることもそうです。テレワークを自宅で行うことも公共の場(オフィスや交通機関等)を避ける対策のひとつです。
社会的距離戦略が対策になる根拠
社会的距離戦略(Social distancing)は,医薬品を使わない感染抑制の対策行動でその歴史は古く紀元前7世紀頃に起源がみられます。
ワクチンと手洗いが最大の対策と言われていますが、新型コロナはまだワクチンが無いため、この戦略を取ることになるのです。
社会的距離戦略は、ワクチンが開発されて利用が可能となるまではパンデミック対策の実行可能な手段なのです。
参考サイト
BBC : News Japan「社会的距離」戦略とはどういうこと? ウイルス感染対策