人はなぜ買いだめに走るのか?心理学から学ぶ対策

くらぶオフィス
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世の中に何か不安材料が突然発表されると、人は「買いだめ」に走ります。

新型コロナウイルスの正体がまだ見えなかった2020年2月27日に熊本県で急にトイレットペーパーがなくなった事件は記憶に新しい。その後小池知事の記者会見後のスーパーの買いだめ、最近では大阪の吉村知事が述べたコメントでドラッグストアの棚から一瞬にしてうがい薬が消えました。

この買いだめに走るという人の心理はどの様な仕組みが働いているのでしょうか。そのメカニズムを調べてみました。

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買いだめに走る人の心理「予言の自己実現」

スーパーで買いだめ
新型コロナ感染で小池都知事の記者会見後。3月26日午後7時のスーパー パンの棚

2020年2月27日のトイレットペーパー買いだめ事件。これらの事例が起きた背景を中日新聞が紹介しています。その記事では東京大大学院の関谷直也准教授(社会心理学)の取材をもとに原因を分析した内容です。

それによると「予言の自己実現」という現象が起きたと述べています。

参考:中日新聞『新型肺炎、デマで買いだめ「なぜ」 東大・関谷准教授に聞く』

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「予言の自己実現」とは?

予言の自己実現は別名「自己成就」とも書かれています。大阪大学の講義「第一部 社会制度に特有の<危うさ>と<堅固さ>」の「第二回講義§2予言の自己実現」でこの内容を説明しています。

それは、ロバート・K・マートンの理論です。

ロバート・K・マートンの「銀行の事例」

「銀行資産が比較的健全な場合であっても、一度支払不能の噂がたち、相当数の預金者がそれをまことだと信ずるようになると、たちまち支払不能の結果に陥る」

「銀行の財政状態の安定性は、一連の状況規定に依存していた。すなわち、人々が生活してゆくための経済的約束の込み入った体系が揺るぎないものでという信念に依存していた。ところが、一度預金者が状況を異なったふうに規定し、また一度彼らが約束の果たされ得る可能性について疑念を抱くに至ると、そのときはじめてこの不真実な決定の結果は十分に真実なものとなったのである。」(訳384) 

引用:大阪大学の第2回講義より抜粋

簡単に理解すると、安定があり信じていた銀行で、ある人が「支払いが不能になる」という間違った噂をしたことで、それまで銀行を信じていた人々の間に拡散しましたた。

その結果銀行から預金が多数引き落とされて「支払いが不能」が現実になったという事例です。

新型コロナ感染の初期段階での事例 2020年2月27日

当時、新型ウイルスの「コロナショック」は各地各方面で様々な影響が出ていました。自宅にトイレットペーパーが無くなったので女房にマツキヨに買いに行ってもらいました。すると在庫がゼロというのです。棚からトイレットペーパーが消滅していました。

千葉県なのですが、コンビニ、ドラッグストア、スーパー等の棚からトイレットペーパーが消滅。「10件ほど回ったけど全く無い」しかし、なんとか400円もするトイレットペーパーを手に入れてきたようです。オイルショックを思い出す光景なのです。原因はデマだったのか?Googleで検索してみるとありました。

熊本県内の小売店でトイレットペーパーの買い占めが相次いでいる。「新型肺炎の影響でトイレットペーパーがなくなる」といった情報がツイッターなどで拡散したため

参考:毎日新聞「トイレットペーパー買い占め相次ぐ 新型肺炎の影響巡りデマ 熊本で」

熊本だけではない熊本県内の小売店でトイレットペーパーの買い占めが相次いでいるとの情報がありました。2月27日の情報では熊本だけの現象だったのですが、今日は千葉県の一部でも同じ状況が見られました。「新型肺炎の影響でトイレットペーパーがなくなる」といった情報がツイッターなどで拡散したためではないかと言われています。

製紙業界団体は在庫はあるとのコメントで、その情報を「デマ」としていました。

国内の製紙業39社が加盟する日本家庭紙工業会(東京)などによると、SNS(会員制交流サイト)上で「マスクとトイレットペーパーの原材料は同じ。マスクの増産に伴って次は紙製品が品薄になる」といったデマが広がったという。

引用:毎日新聞:2020年2月28日 09時44分(最終更新 2月28日 12時51分)より抜粋

その後、2020年3月1日にはドラッグストア、スーパーにはトイレットペーパーがたくさん山積みになっていました。報道によりデマと分かって買い占めは解消しました。

「在庫十分」とアナウンスがあっても「棚にものが無い」ギャップ

倉庫の在庫があっても、実際に棚からトイレットペーパーが無くなっている現実を見ているから買いだめが止まらないのです。

いくら政府やメーカーが「在庫はまだ十分にあります。必要な分だけ買ってください」とアナウンスしても現実には「棚に物は無い」からアナウンスと現実の差が大きく、逆効果になり、人々は政府のアナウンスもメーカーの発表もその時点では信じられなくなり、さらに買いだめが進んだのです。

この事例を「予言の自己実現」に置き換えてみる。

「予言の自己実現」をトイレットペーパーの事例に置き換えて考えてみたいと思います。

メーカーには十分なトイレットペーパーの在庫があってスーパーからの発注によって店頭分を卸していました。ところが誤った予言(推測)「マスクと同じ材料でトイレットペーパーが作られているから無くなる」という噂が流れたのです。

その情報をまともに受けた人は、無くなる前に買っておこうとスーパーに走り買いだめしました。その結果「棚にトイレットペーパーが無い」ということが現実となったのです。

つまり「誤った予言」が「実際にトイレットペーパーが棚に無い」という自己実現になったということです。それを見た人々はさらに正しい噂だと信じて買いだめがもっと進んてしまったのです。

おわりに

新型コロナウイルスによる影響は先が長いようです。この先にどのようなことが待ち受けているかわかりません。

買いだめの心理を学ぶことによって冷静な対応ができるようにしたいものです。

なおたん@くらぶ長

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