ふきのとうを食べたくて毎年この時期に秘密の場所へ行くのです。
そこは春の楽園があり、まだ出たてのふきのとうの「つぼみ」がそこら中にあるのです。道端にはまだ残雪があり冷たい土のなかからふきのとうは顔を出して待っているのです。
250km彼方の山中、苦みの効いた「ふきのとう」

早春の苦みは体をシャキッとさせてくれます。
雪解けの山肌から黄緑色の鮮やかなつぼみをのぞかせている「ふきのとう」は絶品です。早春特有の苦みは冬の疲れをスッキリと解消してくれる良薬でもあります。
ふきのとうならそこらへんにあるのに、どうして250kmも遠くにわざわざ採りに行くのか?
そんな疑問もでてきます。
それには理由があるのです。
残雪から顔をだす「つぼみ」のふきのとう
田んぼのあぜ道や道端で咲いている「ふきのとう」とは少し違うのです。
山中の峠でまだ残雪が残っていて雪解け水が流れ出る場所で採れる「ふきのとう」の味は絶品なのです。

冷たい雪解け水がしみ込んだ地面に生えるふきのとうの苦みがえぐみが美味なのです。
そのふきのとうの「つぼみ」は多くは捕れません。転々とあるのです。
花が開きそうになったふきのとうはどこでも密集しているからいくらでも採れるのですが、つぼみはそうはいきません。
つぼみを採って手のひらで握ると、氷の様に冷たいのです。その冷たさの中で育ったふきのとうはひと味違った苦みがあると自分は感じているのです。

なので250kmも車を走らせて、そこでしか採れないふきのとうの「つぼみ」を見つけに行くのです。場所は奥会津の山中です。
今年のふきのとうはひと月早い収穫
地球温暖化の影響でしょうか?

昨年より一カ月早くふきのとうが採れました。つぼみもこの時期としては少し大きく例年では四月中下旬あたりのふきのとうです。
それにしては沢山とれました。
途中の道の駅でも売っていましたが、朝取りのふきのとう「つぼみ」は六個ほど入って300円前後でした。とても高価なのです。
地元の農家でそばと「ふきのとう」の天ぷら

そこは村から2キロ奥に入ったところにある農家をそのままにした「そば屋」があるのです。
十割そばとふきのとうの天ぷらです。

採ったばかりのふきのとうの天ぷらはやはり絶品です。
ふきとうの天ぷらとふきみそを作る
ふきみそは、150年を超える古民家に今でも住んでいる遠い親戚が作っています。
そのレシピはシンプルです。ふきのとうにサッとお湯をかけてごみを取り、そのまますり鉢に入れてかき混ぜて田舎で作った味噌を入れて混ぜるだけです。
白いご飯に載せて食べると、苦みというかえぐみが美味しいのです。
残雪の冷たさで磨かれた渋みは人生そのもの

残雪を潜り抜けた「ふきのとう」には絶品な渋みがあり私たちを喜ばせてくれます。
人も困難や無理そうな壁を乗り越えたときに、得も言われぬ「渋み」がそなわり人々に癒しや温かみを与えてくれるとおもっています。
毎年ふきのとうをみると、そんな気分になるのです。
今年もようやく春がやってきました。
それにしても新型コロナは深刻です。