温泉のお湯の種類でよく聞く「単純温泉」とはどんな種類の温泉なのでしょうか?
この記事では、①「単純温泉」(たんじゅんおんせん)のお湯の成分、お湯の色、お湯の香り。②単純温泉に入浴するメリット。③単純温泉の選び方。について解説します。
温泉の「単純温泉」とは?
「単純温泉」の説明の前に、温泉の基礎となる「泉質」について解説します。
理由は、泉質を知っていると温泉のお湯の特長が理解できるからです。
日本の温泉のお湯は「泉質」で分類されている。
ところで「泉質」って、なんのこと?
泉質とは「温泉・鉱泉水に含まれる主成分の化学的性質」のことだよ。
泉質の種類は法律で決まっていて次の10種類に分かれています。
10種類の泉質 | お湯の感じ |
---|---|
1.単純温泉 (たんじゅんおんせん) | 刺激がマイルド pH7.5以上「美肌効果」 |
2.塩化物泉 (えんかぶつせん) | 湯冷めしにくい 傷に効く |
3.炭酸水素塩泉 (たんさんすいそえんせん) | 美肌の湯、美人の湯 清涼の湯 |
4.硫酸塩泉 (りゅうさんえんせん) | 傷の湯 美肌の湯 |
5.二酸化炭素泉 (にさんかたんそせん) | 血圧や動脈硬化に効く 心臓の湯 |
6.含鉄泉 (がんてつせん) | 鉄分を含む温泉 黄金の湯、赤湯 |
7.酸性泉 (さんせいせん) | 皮膚病によい湯 |
8.含よう素泉 (がんようそせん) | ヨードチンキのような湯 殺菌 |
9.硫黄泉 (いおうせん) | 殺菌効果が高い ゆで卵の腐ったような臭い |
10。放射能泉 (ほうしゃせんせん) | 通風の湯 |
10種類の泉質名を表示できる温泉を「療養泉」といいます。
療養泉ってなんのこと?
療養ができる温泉のことだよ。
療養とは「病気やけがの手当をし、からだを休めて健康の回復をはかること」です。
つまり療養ができる温泉を「療養泉」と呼ぶんです。
環境省では次のように説明しています。
療養泉とは、温泉のうちとくに療養に役立つ泉質をもつ温泉を指します。 療養泉には、必ず泉質名がつけられ泉質ごとの「適応症」があります。
適応症は、泉質を問 わず共通する「一般的適応症」 と、 泉質によって定められた 「泉質別適応症」 があります。
引用:環境省 温泉療養のイ・ロ・ハ https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf
療養泉の基準を満たせば、温泉には必ず「泉質」名が付けられて表示されています。
温泉宿やホテル、公衆浴場に表示されているのを見かけますよね。
温泉が療養泉の基準に満たない場合は泉質名はありません。
そして、「温泉療養」について環境省では次のように説明しています。
特定の病気の治癒よりも、・症状、苦痛の軽減 ・健康回復、増進 など全体的に改善する効用があります。
引用:環境省 温泉療養のイ・ロ・ハ https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf
療養泉には必ず泉質名が付けられ、泉質ごとの「適応症」が2種類あります。
- 一般的適応症:泉質を問わず共通する
- 泉質別適応症:泉質によって定められる
「単純温泉」は療養泉です
単純温泉(たんじゅんおんせん)は10種類の泉質のひとつです。
英語名は「simple hot springs」です。
単純温泉という名前は「単純」がついているので、あんまり入浴の効果がないような感じがしますよね。
でも、単なる単純という意味ではありません。
科学的根拠に基づいて「単純」という名称がついているのです。
単純温泉には温泉の療養のメリットがしっかりあるので説明します。
単純温泉の成分
単純温泉には基準があります。
法律の基準なので難しい表現です。
つまり、温泉のお湯1kgの中に溶けている物質が1g未満で、源泉から湧き出たお湯の温度が25℃以上のものを「単純温泉」といいます。
さらにpH8.5以上を「アルカリ性単純温泉」と呼びます。
むずかしくなってきた!「pH」ってなに?
pH(ペーハー)は、美肌に関係ある値だよ!
「pH値」とは、水溶液中に含まれた“水素イオン”の濃度を示す指数です。
水素イオンの「pH値」の数値によって
- 酸性
- 中性
- アルカリ性
に分類されます。
単純温泉では、その数値によってお肌や体内への作用が変化します。
「pH値」は環境省が定めた5つのカテゴリに分けられます。
【環境省の鉱泉分析法指針】
- pH2~3未満:酸性
- pH3~6未満:弱酸性
- pH6~7.5:中性
- pH7.5~8.5未満:弱アルカリ性
- pH8.5以上:アルカリ性
つまり単純温泉で「pH8.5以上」はアルカリ性なので「アルカリ性単純温泉」と呼びます。
単純温泉のお湯の特長
肌触りが柔らかく、癖がなく肌への刺激が少ないのが特徴で身体にやさしい温泉。
さまざまな成分が少量ずつバランスよく含まれていています。
そのため、名湯といわれる温泉も単純温泉の泉質が多いです。
単純温泉のお湯の色
単純温泉のお湯の色は無色透明です。
含まれている成分によっては「薄茶色」「淡い青」に変化する温泉もあります。
温泉のお湯の色は、湧出した時は無色透明でも浴槽の中では色づいたりします。
また、湧出してから時間が経過する過程で色づいたり色彩が変化していく場合もあります。
この原因は、水に溶けない不溶性化学成分が大きな要因と考えられています。
地中から湧出した温泉が空気に触れて化学変化により色が変化したり、光の反射や屈折、吸収、あるいは湿度等によって変色して見えたりもします。
白色系、赤色系、緑色系、ブルー系、褐色系などがあり濃い色から薄い色まで種々です。
単純温泉のお湯の香り
国内の温泉の約40%がこの単純温泉といわれるほど多い泉質です。
単純温泉の泉質のお湯の香りはほぼ無臭です。
単純温泉に入浴するメリット
pH8.5以上の「アルカリ性単純温泉」になると、入浴すると「肌がすべすべする感触」「ぬるぬるした肌ざわり」があるのが特徴です。
アルカリ性の温泉は皮脂を溶かして皮膚の汚れを石鹸のように落としながら中和します。
そのため、すべすべしたりぬるぬるっとした肌触りになります。お肌をやわらかく整えてくれます。
反対の酸性の温泉は、お肌の古い角質を溶かす「ピーリング効果」が見込めます。酸性の温泉に入ると殺菌効果でお肌がツルツルになります。
酸性の温泉もアルカリ性の温泉も、度合いが強くなるほどお肌に刺激を与えやすくなります。
そのため、お肌が弱い人はシャワー等で身体についた温泉のお湯を洗い流してから出るとよいでしょう。
単純温泉の選び方
泉質が単純温泉の温泉地は説明した通り国内で最も多い温泉です。
有名な温泉では、栃木県の塩原温泉郷、愛媛県の道後温泉、九州の別府温泉郷、由布院温泉などがあります。
単純温泉の泉質もあれば多彩な泉質を持つ温泉郷もあります。
1カ所で複数の泉質が楽しめる温泉郷もあります。
湯めぐりなどは、多彩な泉質を楽しむためのスタイルとも言えます。
まとめ:「単純温泉」とはどんな特徴のお湯?
日本で最も多い泉質の単純温泉は、美肌の湯ともいわれています。
各地の有名な温泉郷でぜひ楽しんでくださいね!