温泉に行くと「熱の湯」と呼ばれるお湯があるけど、どんなお湯なの?
熱の湯に入浴するとどんなメリットがあるの?
そこで今回は天然温泉でよく見る「熱の湯」について解説します。
(トップ写真の温泉は、北海道函館・湯の川温泉の塩化物泉です。)
熱の湯とはどんな特徴の温泉なの?
温泉地でよく見かける「熱の湯」というお湯なのでしょうか?
実は「熱の湯」の正体は「塩化物泉」です。
熱の湯とは「塩化物泉」のニックネームのような感じですとは次の特徴がある温泉をいいます。
- 温泉水1kg中に溶存物質量(ガス性のものを除く)が1,000mg以上
- 陰イオンの主成分が塩化物イオンのもの
塩化物泉の特徴
熱の湯、つまり塩化物泉は日本に非常に多い泉質です。
専門的になりますが、塩化物泉には陽イオンの主成分により主に3つの種類にわかれます。
- ナトリウムー塩化物泉
- カルシウムー塩化物泉
- マグネシウム―塩化物泉
があります。
温泉でよく見かける名称ですね。
塩化物泉を飲むと、その名の通りで塩辛く感じます。
塩化物泉の3種類を一つずつ順番に説明します。
1.ナトリウムー塩化物泉
日本の温泉の大部分を占めているのが、ナトリウム塩化物泉です。
また、海の近くの温泉はほとんどがナトリウム塩化物泉といっても過言ではありません。
静岡県の伊東温泉、北海道の湯の川温泉などが有名ですね。
2.カルシウムー塩化物泉
カルシウム塩化物泉は国内では少ない泉質です。
カルシウム塩化物泉は、あまり見かけませんが、でも存在します。
青森県の浅虫温泉の泉質は、「ナトリウム・カルシウム-硫酸塩-塩化物泉」で、カルシウムが含まれる塩化物泉の一つです。
3.マグネシウム―塩化物泉
マグネシウム塩化物泉も国内では少ない泉質です。
塩分濃度が濃かったりマグネシウムが多いと苦く感じます。
マグネシウムイオンがナトリウムイオンより多いマグネシウム塩化物泉ななかなか見つかりません。
でも、マグネシウムを含む温泉を探せないわけではありません。
マグネシウムが多く含まれる泉質は硫酸塩泉です。塩化物泉とは分類が違いますが、マグネシウムのお湯に入るのであればかんたんに見つかります。
例えば、九州の別府温泉郷が該当します。
塩化物泉に入浴するメリットは?
塩化物泉に入浴すると皮膚に塩分が付着します。
そのことで、汗の蒸発を防ぐので保温効果がよくなります。
その結果、湯冷めしにくい事から「熱の湯」といわれるのです。
- 神経痛
- 関節性リウマチ
- 冷え症
等の症状に効果があります。
また、飲用することにより次のメリットもあります。
- 胃腸病や慢性便秘にも効果的
- 胃腸の消化液分泌及び運動を促進
美肌の湯の後は塩化物泉に入るメリット
よく聞く美肌の湯(炭酸水素塩泉、硫酸塩泉)に入ると、角質化した皮膚が取れてきれいになります。
その後に「塩化物泉」に入ると、塩分で肌が覆われ、さらに保湿効果が期待できます。
つまり「仕上げの湯」としても有名です。
泉質の種類がおおい温泉では、美肌の湯にあとに、最後に塩化物泉に入るといいですね!
日本の温泉のお湯は10種類ある
日本の温泉(療養泉)の種類は法律で決まっていて次の10種類に分かれています。
10種類の泉質 | お湯の感じ |
---|---|
1.単純温泉 (たんじゅんおんせん) | 刺激がマイルド pH7.5以上「美肌効果」 |
2.塩化物泉 (えんかぶつせん) | 湯冷めしにくい 傷に効く |
3.炭酸水素塩泉 (たんさんすいそえんせん) | 美肌の湯、美人の湯 清涼の湯 |
4.硫酸塩泉 (りゅうさんえんせん) | 傷の湯 美肌の湯 |
5.二酸化炭素泉 (にさんかたんそせん) | 血圧や動脈硬化に効く 心臓の湯 |
6.含鉄泉 (がんてつせん) | 鉄分を含む温泉 黄金の湯、赤湯 |
7.酸性泉 (さんせいせん) | 皮膚病によい湯 |
8.含よう素泉 (がんようそせん) | ヨードチンキのような湯 殺菌 |
9.硫黄泉 (いおうせん) | 殺菌効果が高い ゆで卵の腐ったような臭い |
10。放射能泉 (ほうしゃせんせん) | 通風の湯 |
療養泉とは、環境省の説明では次の事を言います。
療養泉とは、温泉のうちとくに療養に役立つ泉質をもつ温泉を指します。 療養泉には、必ず泉質名がつけられ泉質ごとの「適応症」があります。
適応症は、泉質を問 わず共通する「一般的適応症」 と、 泉質によって定められた 「泉質別適応症」 があります。
引用:環境省 温泉療養のイ・ロ・ハ https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf
温泉療養について環境省では次のように説明しています。
特定の病気の治癒よりも、・症状、苦痛の軽減 ・健康回復、増進 など全体的に改善する効用があります。
引用:環境省 温泉療養のイ・ロ・ハ https://www.env.go.jp/nature/onsen/docs/ha.pdf
と説明しています。
温泉が療養泉の基準に満たない場合は泉質名はありません。
その場合は「温泉分析書」に次のように書かれています。
- 「温泉法上の温泉」
- 「温泉法第2条に該当する温泉」
環境省は昭和53年から「新泉質名」を使うよう改訂しました。
それまでは旧泉質名の表示で、「炭酸泉」「重曹泉」「食塩泉」「正苦味泉」「芒硝泉」「石膏泉」「緑礬泉」と呼んでいました。
塩化物泉の温泉はどこにある?
「ナトリウム-塩化物泉」で特に以下の温泉を「ナトリウム-塩化物強塩泉」といいます。
- ナトリウムイオン5.5g(5500mg)/kg 以上
- 塩化物イオン8.5g(8500mg)/kg 以上
- 塩化ナトリウムとして240mva1/kg 以上
ナトリウム-塩化物強塩泉で有名なのが、有馬温泉の「金泉」です。
当ブログで紹介している温泉で、塩化物泉に入れる温泉は以下の通りです。
北から順番に紹介します。
「熱の湯」の温泉とは?「塩化物泉」のまとめ
今回は「熱の湯」「仕上げの湯」として有名な塩化物泉を解説しました。
日本国内で最も多い泉質ですが、最近は温泉掘削の開発で「単純温泉」も同じように増えています。
身体の芯から温まる熱の湯の「塩化物泉」をぜひお試しくださいね!