健康ブームから「1日に1万歩」が定説となってきましたがどうでしょうか?
とは言っても現実的に1日に1万歩は結構つらいもの。
歩数計買って頑張っても、なかなか継続的に1日1万歩を歩くのは難しいようです。
実は、「そんなに歩かなくても健康効果は十分」という論文が発表されました。
そこで今回は、1日4,400歩でも効果はあるという論文をもとに、そのワケを探ってみました。
「1日1万歩は歩きすぎ」説とは?
1日1万歩を歩くという目標はいつの間にか健康に良いと信じられてきました。
なので1日1万歩を目標にしている方は少なくないかもしれません。
1日1万歩程度歩くとダイエットはもとより病気のリスクを減らす効果があるとも言われてきました。
しかし現実に1日1万歩を歩くのは容易ではありません。1日4,000歩~5,000歩は何とか頑張れても1万歩の目標はあきらめてしまう方もいると思います。
実はうれしい学術論文が近年発表されました。
それは「そんなに歩かなくても健康効果がある」という研究論文です。
1日1万歩には科学的根拠が限られているとしています。
Importance A goal of 10 000 steps/d is commonly believed by the public to be necessary for health, but this number has limited scientific basis.
引用:Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women
発表されたのは2019年米国の内科医学ジャーナルで、研究には有名なハーバード大学博士のI-Min Lee(アイ-ミン・リー)、東京大学博士の鎌田真光らが携わっています。
せっかくなのでお二人の先生を簡単にご紹介いたします。
I-Min Lee 博士の主な分野は、慢性疾患の予防と長寿の促進のための身体活動の役割、および女性の健康です。 450 以上の科学論文を発表しています。
鎌田真光博士のミッションは「世界から運動不足をなくす」ことだそうです。自分に合ったアクティブな生活を送れる社会に向け、からだを動かすことと健康の関係を予防・教育・政策の観点から研究・活動を行っています。
1日4,400歩でも健康効果は十分という根拠
研究「Association of Step Volume and Intensity With All-Cause Mortality in Older Women」では次の調査を行っています。
17,708人の女性被験者に歩数計をつけてもらい追跡調査を行ったものです。
その結果、1日平均2,700歩以下のグループがの死亡率が最も高くなることがわかりました。そして、1日平均4,400歩まで増えると死亡率は41%低くなるとしています。
つまり、平均歩数が増えるにつれて平均寿命も比例して伸びることがわかりました。
しかし注目することは、歩数が7,500歩を超えても効果はあまり変わらないことも伝えています。
1日7,500歩を超えても平均寿命を伸ばす効果は変わらず
1日に歩く歩数は7,500歩を超えたとしても、平均寿命を延ばす効果はほぼ変わらなかったといいます。
このことから、1日1万歩と7,500歩との効果とほぼ変わらないということですね。
さらに研究では歩く速さが寿命に影響しないことも分かりました。
なので早歩きしたからと寿命が伸びるわけでもなさそうです。
歩数自慢の歩きすぎには注意も!
健脚で歩ける方はもちろん1万歩以上歩いても健康に悪影響があるわけではありません。
ただし、東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利さんによると、歩きすぎには気を付けることも必要なようです。
定年退職してどうも運動不足だからウォーキングでも始めようとする方が多いのです。
先に説明したように、なぜかウォーキングの目標歩数は1万歩が多いようです。
昔から足腰を健康で老後も丈夫で過ごすには、最低1日に1万歩は歩こうと考えている方が実に多いと言われています。
「本当に1日に1万歩のウォーキングは必要なのでしょうか?」同様に国内でも研究されているようです。
青柳幸利さんが執筆された「やってはいけないウォーキング」という本を参考にまとめました。
この本では、今まで当たり前だと思っていたウォーキングの方法が実は危険を伴うこともあると警鐘を鳴らしています。
ご高齢になっても真っ黒に日焼けした頑丈そうな体で「今日は2万5千歩だった!」などと歩数を自慢している方がいます。
東京都健康長寿医療センター研究所の青柳幸利さんのグループが調査したデータがあります。群馬県中之条町の65歳以上の5000人を対象に17年間調査した結果です。
5,000人中500人には24時間活動量計をつけてもらいモニタリング。その結果を次のように報告しています。
「一日8,000歩が健康効果の最大値で、それ以上は頭打ちになることが分かったのです。頑張って一万歩以上歩いたとしても、ほとんどすべての病気において効果が見られませんでした」
65才を超えるといくら歩いても8,000歩までしか効果は見られず、たとえ2万5千歩歩いたと自慢しても実は効果は見られなく自慢だけに終わっているようでうす。
それどころか60歳を過ぎてのウォーキングのし過ぎは、身体に弊害すらもたらすことが分かってきました。歩きすぎると「膝痛」「腰痛」「外反母趾」「開帳足」「魚の目」などの足のトラブルのリスクもあると述べています。
ウォーキングの歩きすぎには注意が必要ですね。
意外な運動と老化の関係
運動をしすぎると「免疫力の低下」を引き起こすと青柳さんは説明しています。よく「運動選手は風邪をひきやすい」といわれるように強い運動で鍛えている人は免疫力が低下しているからだと言います。
水泳で金メダリストのイアン・ソープ選手の血液を分析したところ、免疫機能、特にガン細胞を殺すNK細胞の活性レベルが普通の人より低くくインフルエンザなどにもかかりやすい状態にだったころが分かったそうです。
原因はトレーニングのし過ぎによる免疫力低下です。このように「スポーツの体力」と「病気を予防する体力」は別ものだと説明しています。
また、運動のし過ぎによる弊害にも注意を促しています。
運動をしすぎをたり長時間行うと、血圧の高い状態を続けるため「動脈硬化」を悪化させたり、認知症を進行させてしまう可能性もあると指摘しています。
間違ったウォーキングを行うと老化につながり健康寿命を縮めてしまうと指摘しています。
日常生活でも結構歩いている
もう少し気楽に、たとえば朝夕の通勤時や昼休みに少し遠回りをして歩いてみる。それくらいから始めた方が長続きしそうですし、それでも充分に健康効果はあるようです。
日常生活の中でも買い物や掃除、その他の行動でも歩いているいると言われています。
ウォーキングを日常生活とをうまくミックスしてバランスのとれた無理のない方法を取ることが効果をアップする秘訣だと言えます。
人それぞれの環境で生きてきた60年間なので、人それぞれに適したウォーキングの歩数や時間があります。60代以降は無理しないで楽しみながら行うことが大事ですね。
やりすぎや歩数自慢は大敵ですからご注意ください。
「1日1万歩は歩きすぎ」説とは?(まとめ)
健康寿命を延ばすための適切なウォーキングの歩数を紹介しました。
1日に1万歩は7,500歩とほぼ変わりがなく、4,400歩でも2,700歩と比べ41%も死亡率が低くなることが分かりました。また、早歩きをしても寿命が延びることは無いようです。
高齢になったら、最低4,400歩を目安に最高でも7,500歩がいいようですね。早歩きをしなくても適度な散歩をすれば健康効果も得られるようです。