本格的な高齢化を迎えた日本。
100才まで生きる可能性もあるので、心配になるのは老後のお金の話です。
かつて金融庁が発表した2,000万円問題は話題になりました。
しかし、だれしも老後は何年間生きるのかは、だれにも分かりません。
老後のお金は、いったいどう考えるたらいいのでしょうか。
老後に2,000万円が不足する根拠とは?
そもそも金融庁が発表したモデルをもう一度取り上げてみます。
前提条件は以下の通りで、30年間で約2,000万円が赤字になる計算です。
30年後(夫95歳、妻90歳)まで夫婦は健在
30年間、家計が毎月5.5万円の赤字(*)
5.5万円×12か月×30年=1,980万円赤字
(*)総務省「家計調査」(2017年)高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の平均
よくこの計算の根拠を見ると、30年間夫婦が元気で健在、大病もしないで、大きなアクシデントも無く、もちろん寝たきりになったり認知症になったりした場合は想定していないですね。
老後の貯金や資金計画は可能なのでしょうか?
ファイナンシャルプランナー(FP)が様々なモデルケースを使って説明しています。
30代からの資産形成や40代の貯蓄のノウハウなどは、かなりの記事がネット上で紹介されています。
しかし定年退職後の仕事があるのを前提にしている場合もあり、予測プランは予測でしかないとも言えます。
現実には、様々な問題や生活の変化も出てきてプラン通りにはいきませんね。
今回の新型コロナウイルス感染による経済的な打撃を受けたら、プランなどはどこかに吹っ飛んでしまいかねません。
まして、人は何歳まで生きるのかが全く不明なので実際に予測はつかないと思います。
老後の資金(貯金額)では安心感を得られない
例えばある方の老後の心配です。
貯蓄が5千万円あって現在の収入は月50万円ある方が「老後は暮らしていけない」と心配しているのです。
またある方は自営の工房を営んでいて、貯蓄などほとんどない自転車操業で家計を保っています。
老後など考える暇がない。「老後はなんとかなる!」という方までいます。
どちらもあと数年で定年を迎える年代です。
老後は計画通りにいかないうえに、あと何年生きるか分からないのです。
5,000万円貯金があっても不安だし、先が分からない自転車操業でも「なんとかなる」と元気に働いていて現実を生きている方がいるのも事実です。
ファイナンシャルプランナーの相談内容を見てみると、意外にも収入が多い程、深刻な問題が多いと言います。
それは、現在の収入が高い程、老後の生活水準も下がり幅が大きいからだとも言われます。
老後の資金計画をしつつも、変化に対応する心構え
あまり参考にならないと思いますが、ぼくの老後生活の実話を紹介します。
最後は月収50万円のサラリーマンで60才で定年退職しました。その後、継続して契約社員として残り月収30万円で働きました。
そして65才までは働くことが可能でしたが、62才6カ月目で体力の限界により仕事を途中で退職しました。
その時は、途中で収入のない無職になるのは不安でした。
ぼくの場合は段階的経過措置により、62才から厚生年金の一部が支給されたので月14万円が夫婦2人の収入となりました。
つまり、現役の月収50万円から定年後30万円になり、さらに無職で月14万円と徐々に減りました。
最大の不安を感じたのは月収50万円から30万円に下がった時です。
月30万円は今となれば大金ですが、当時50万円の生活から見ると少額のお金にしか見えませんでした。
だから不安もかなり大きかったのです。
無職になった62.5才から月14万円だけで生活することになった時は、意外と不安は無かったのです。
それは、もう「なんとかなる」としか言えないからでした。腹が座ったというのでしょうか。
食材も安いものに切り替えたり、ほとんど自宅で料理を作ることに切り替えました。
そして2年半が過ぎて、65才に到達し年金が満額支給されることになり、総額で月24万円が支給されました。
14万円の生活が2年半あり、そこから月10万円アップの24万円になるので大幅な増額に感じるのです。
50万円から30万円に下がった不安より、14万円が24万円になった喜びの方が格段に大きいのです。
人間の感じる感覚は不思議なものです。
老後の生活はある中でやりくりする
結果としては、14万円でも24万円でも30万円でも50万円でも不安は一緒であり、金額ではないことがわかりました。
14万円でも立派に無職の生活は可能でしたし手作りが楽しくなり、特に不満もありませんでした。
その時々の状況に合わせて生活することができるのが人間だと思いました。
いつまでも、同じ水準を保とうと固定的に考えるから、2,000万円が不足するのです。
今現在を楽しく生き生きと暮らす工夫をすれば、老後に2,000万円が不足するということにはならないと思います。
老後は何が起こるかわからないので、その時々の生活をやりくりをする「フレキシブルな考え方」が大切になると思われます。