記憶が悪いことでコンプレックスを感じている方は少なくありません。
記憶したつもりでもつい忘れ去ってしまう「忘却」。
しかし「忘却」はデメリットだけではないようなのです。
今回は「忘却は人間にとって大切なメリットになる」という説を紹介します。
「忘却」は人間の大切な特徴?
なぜ忘却は大切なのかを、教育学者でもとの水大学名誉教授 外山滋比古さん(1923年~2020年)によると次のように説明しています。
人間はコンピュータにはかなわない。なにがかなわないかと言えば「記憶」と「再生」だといいます。
しかし、人間の記憶力は不完全。
しかも絶えず忘れてしまうと説明しています。
ところが、「人間は選択しながらうまく忘れる」ことができるけどコンユーターにはそれができないと説明しているのはうなずけます。
「忘却」つまり忘れることができるのが人間の特徴といえます。
そして外山先生は次のように解説しています。
忘れることを恐れないこと。おびただしい情報で頭がメタボになれば、考えることができなくなる。
引用:朝日新聞2009年8月3日 東大・京大で昨年最も読まれた「思考の整理学」より
忘却で前人未踏の思考にたどり着くメリット
新しいユニークな考え方や思考にたどり着くにはどうしたらいいのでしょうか?
外山先生の説を簡単にまとめてみました。
人限は食べ物を食べると必要な物だけをからだに取り入れて、不要になったものは排泄します。
同じように知識を得られるだけ得た後に、適当に自分で捨てて、頭に残った知識だけを個性化していくという方法を紹介しています。
そして大切なことは、新しい考えは集団ではなく、ひとりで考えることだといいます。
すると「前人未到の思考にたどり着く」と説明しています。
ここで人間にとって「忘却」は大切なメリットだということがわかります。
詰め込んだ知識と、自分で考える思考は違う?
2009年7月1日に東大駒場キャンパスで外山先生が講演された内容を簡単にまとめました。
講演のもとになったのは「思考の整理学」というご著書で、東大・京大で最も読まれた本だと言われています。
もともと外山先生は学生の名前を覚えられない記憶の悪さがコンプレックスだったと言います。これが解決したのは50歳になってからで、フランスの思想家モンテーニュも記憶が悪いと悩んでいたことを知った時だと話しています。
ここで大切なことは、コンピューターのように詰め込んだ情報と、「自分の頭を使って考えた思考」には違いがあることです。
忘却には新しい考えを生み出すメリットがある
60代にもなると、人生で様々な知識や情報がたっぷり頭の中に詰まっているのではないでしょうか。
人生で取り入れた、膨大は知識や経験は貴重なものだと思います。
頭に残った記憶は選択された情報
ここまでで頭の中に残っている知識や記憶は、実は選択された貴重な情報だと言えます。
これらの記憶・知識をもとに、ひとりで考えをめぐらすなら、60代からでも前人未踏の思考にたどり着ける希望が持てたのではないでしょうか。
忘却を受け入れ、新しい考えを生み出す方法
年を重ねたから、物忘れが多くなった?とお悩みのみなさん。
実は、不要な過去の膨大な記憶を整理する忘却、そこから新しい考えが生みだされることが分かりました。
今回、忘却から学んだことは、60代はもっとどん欲に知識を吸収しつつ、忘却を恐れずに、一人で考える習慣をつくること。
過去の不要な記憶はどんどん捨てることと、最も大切な頭に残った記憶をもとに、一人で考えることは、新しい考えを生み出すチャンスがあると言えます。
自分の事例で恐縮ですが、実は、毎日ブログ記事5,000字~10,000字程度を書き続けています。
そのおかげで、どんどん新しい知識が増えていきます。
それが、また要因となって、次から次へと新しいテーマが沸いてきます。
これこそ、老後の向けた「忘却」と「新しい考えの発見」という、わくわくする生き方になると確信しています。