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新型コロナウイルスの『生存期間』何時間生き続けるのか?

新型コロナウイルス感染症は「新型インフルエンザ等感染症(いわゆる2類相当)」でしたが、2023年5月8日から「5類感染症」になりました。

とはいえ、2024年12月現在も感染が拡大するなど、まだ脅威が消えたとは言えません。

ここで、改めて新型コロナウイルスの生存期間について見直してみましょう!

新型コロナウイルスが万が一付着した時、何時間生き続けているのか?

様々な調査研究から見えてきた「生存期間」を紹介いたします。

外出から戻った時のドアノブ、靴底、衣服や荷物など様々な場所に新型コロナウイルスが付着しているかもしれません。

新型コロナウイルスの生存期間と感染力を知ることで、感染のリスクを減らすことができます。

この記事では新型コロナを知り厚生労働省が推奨している感染防止対策を実践することを紹介します。

その①:物体上での生存期間
その②:新型コロナウイルスの感染力
その③:感染予防の方法
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その①:物体上での生存期間

新型コロナウイルスの生存期間について、アメリカ政府の出資のもとで調査研究が行われました。

研究を実施したのは、アメリカ疾病予防管理センター(CDC:Centers for Disease Control and Prevention)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)およびプリンストン大学(Princeton University)の研究者たちです。

その論文が2020年3月17日アメリカの医学誌「ニューイングランド医学ジャーナル(New England Journal of Medicine)」に発表されました。

参考論文:New England Journal of Medicine
「Aerosol and Surface Stability of SARS-CoV-2 as Compared with SARS-CoV-1」

その結果を簡単にまとめると以下の通りです。

物質上での生存期間

  • 段ボールに付着した場合:最長24時間検出が可能
  • プラスチックの表面に付着した場合:最長2~3日間検出が可能
  • ステンレスの表面に付着した場合:最長2~3日間検出が可能
  • 空気中に医療用噴霧器で噴霧:3時間検出が可能(*1)

(*1)空気中の噴霧による実験結果では3時間ですが、これまでに確認されている飛沫感染ではウイルスの生存可能期間は数秒との報告があり大きく違っています。別の要因の可能性が否定できないようです。(参考記事:AFPBBNews)

物の表面と感染経路の関係

アメリカ疾病予防管理センター(CDC)は物の表面がウイルスの主な感染経路になるとは考えられないと強調しています。「一般的なアドバイスとしては、商品と自分の手をよく洗うことだ」とモリス氏は助言しています。

これらの結果は、2000年代のSARSの生存期間とおおむね一致することを研究者たちは指摘しています。しかしほぼ同じ結果でありながら、説明がつかない点があるといいます。

それはSARSの流行では感染者約8000人、死者約800人なのに、新型コロナウイルスでは感染者約20万人、死者約8000人とパンデミックになっている点です。(発表当時の数字のまま掲載)

医療従事者の靴底での生存

2020年4月10日に米CDC(アメリカ疾病管理予防センター)が新しい研究結果を発表しました。

研究結果は当センターが出版している雑誌『Emerging Infection Diseases』のサイト上で公表されました。

注目するのは「医療従事者の靴底が新型コロナウイルスを運ぶかもしれない」という内容も報告に含まれているリポートでした。

中国武漢の病棟で新型コロナウイルスが空気や物質の表面のサンプルをテストしました。

集中治療室の汚染は一般病棟よりも多かった。ウイルスは床、コンピュータマウス、ゴミ箱、病床の手すりに広く分布し、患者から約4 mの空気から検出されました。

いずれも広範囲に渡ってコロナウイルスが検出されたと報告されています。
特に、注目するのは次の点だと述べています。

集中治療室(ICU)で働く医療従事者の靴底からのサンプルのうち、半分が陽性だった。
医療従事者だけが出入りした薬局の床には新型コロナウイルスが100%だった。

『新型コロナウイルスを靴が運ぶ?』米CDCの報告を簡単に紹介

香港大学での実験 2020年4月2日

香港大学での新型コロナウイルスの生存期間の実験結果が公開されました。簡単に紹介します。

サージカルマスク上での生存期間

環境:室温22℃、湿度65%
方法:サージカルマスクに新型コロナウイルスを含む液体を付着実験
結果:マスクの内側4日後も検出。マスクの外側7日後も検出。
*8日目以降は追跡しなかったためウイルスが実際に何日間感染力をもっていたかは確認していない。

温度と生存期間の関係

温度と生存期間の関係も調査研究され以下の様に報告されています。

新型コロナウイルスは真夏の環境下(37℃)でも24時間は生存していて感染するリスクがあると思われます。

4℃:14日後まで維持
22℃:7日後まで維持
37℃:24時間後まで維持
56℃:10分後まで維持
70℃:1分後まで維持

Chin A W H, Chu J T S, Perera M R A, et al. Stability of SARS-CoV-2 in
different environmental conditions. Lancet Microbe 2020; published online April 2.

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その②:新型コロナウイルスの感染力

新型コロナウイルスがもっている感染力についてプリンストン大学と香港大学で報告された内容を参考に簡単にまとめてみました。

プリンストン大学の研究者でディラン・モリス氏の報告

・新型コロナウイルスはSARSやMERSウイルスより速く伝播する。
・新型コロナウイルスの急速な感染は、従来にない力学の働きを意味する。

新型コロナウイルスの特徴は「感染初期における大量のウイルス排出」と各種論文が示唆しているといいます。

感染の初期には「人々は通常通りの生活を過ごしがちだ」と言うのです。

これは現在でいうと、入院や自宅待機の診断がされる前の段階です。

まとめると、「従来にない急速な感染速度で拡散し、感染しても初期段階では気付かず通常の生活を過ごす中で大量のウイルス排出をしている」という感染力の強い特徴をもつコロナウイルスのようです。

香港大学のエリック・ラウ氏の研究チーム

このことを裏付ける研究結果があります。

新型コロナの感染力について具体的なデータが示されました。

それによると、症状が現れる2~3日前に感染力のピークが来るということで、自覚はないことが多いようです。

以下に研究内容を紹介します。

香港大学のエリック・ラウ氏の研究チームが広州市第8人民医院の入院患者94人の咽頭検体を採取して「最初に症状が表れた日から32日間」にわたってそれぞれの感染力を評価した報告です。

それによると、

感染力が高い状態は症状が表れる2・3日前に始まり、最初の疾病兆候の0.7日前にピークに達すると推察された。

引用:翻訳編集AFPBBNews

感染していても症状が出ていないので自分では気付かず出歩くと、相手に感染させてしまうリスクが高くなります。

日本感染症学会特別シンポジューム 2020年4月18日

集団感染(クラスター)を調査した中から得られた情報。
東北大学大学院医学系研究科微生物学分野教授の押谷仁氏は、クラスター対策班で全国の感染状況の解析と感染メカニズムを以下の説明をしています。

症状の重症度と感染力の高さはリンクしていない。むしろ、無症状・軽症の患者の方がウイルス量は多い。
香港大学のグループが解析したデータから、高齢者の方が他の年代より放出するウイルス量が高い。

日本感染症学会特別シンポジューム

*当内容はTBS2020年4月20日15:00放送を参考にしました。

その③:感染予防の方法

厚生労働省による感染予防の方法は以下の通りです。原文を引用します。

感染を予防するためには、基本的な感染予防の実施や不要不急の外出の自粛、「3つの密」を避けること等が重要です。
 これまでに国内で感染が確認された方のうち重症・軽症に関わらず約80%の方は、他の人に感染させていない一方で、一定の条件を満たす場所において、一人の感染者が複数人に感染させた事例が報告されています。集団感染が生じた場の共通点を踏まえると、特に、1.密閉空間(換気の悪い密閉空間である)、2.密集場所(多くの人が密集している)、3.密接場面(互いに手を伸ばしたら届く距離での会話や共同行為が行われる)という3つの条件のある場では、感染を拡大させるリスクが高いと考えられています。

引用:厚生労働省

基本は3つの「密」を避けて、うがい、手洗いをしっかり行うことが新型コロナウイルス感染予防の方法です。

2024年12月現在の新型コロナの最新情報

2024年12月現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の状況は依然として注視されています。

最新のデータによると、感染者数は増加傾向にあり、特に冬季における感染拡大の懸念が高まっています。

厚生労働省2024年12月20日の報告では、全国に約5千ある定点医療機関に12月9日~15日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は計1万9233人でした。

1定点あたり3・89人で、前週(3・07人)の約1・27倍と増加しています。ちなみに昨年の同時期は1定点あたり4・15人。

3週連続で増加している傾向です。

感染症法の改正により、COVID-19は5類感染症に分類され、外出自粛の法的義務はなくなりましたが、発症後5日間は感染リスクが高いため、外出を控えることが推奨されています。

現在流行している変異株にはKP.3系統やXEC系統があり、これらは従来の症状とは異なる場合があります。

新型コロナウイルスのKP.3系統とXEC系統は、オミクロン株から派生した変異株であり、現在の流行において重要な役割を果たしています。

感染予防策としては、マスク着用や手洗い、換気が引き続き重要です。特に高齢者や基礎疾患を持つ人々は重症化リスクが高いため、注意が必要です

【参照】厚生労働省 新型コロナウイルス感染症に関する報道発表資料(発生状況)2024年

KP.3系統

KP.3系統は、オミクロンBA.2系統の亜系統であり、特にJN.1系統から派生しています。

2024年4月以降、KP.3系統は世界的に感染者数が増加しており、特に日本を含む北半球で主流となっています。

この系統は、スパイクタンパク質に複数の変異(S、S、Sなど)を持ち、これにより感染力が強化され、既存のワクチンによる免疫を逃れる能力が高いことが示されています。

KP.3系統は、過去の感染やワクチン接種による中和抗体に対しても免疫逃避能力が高いとされ、感染者の増加が続いています。

特に、KP.3.1.1系統は、さらに強い感染性を示すことが研究で確認されています。

XEC系統

XEC系統は、KP.3系統とKS.1.1系統の組み合わせによって生じた新たな変異株です。

この系統は2024年6月にドイツで初めて確認され、その後、アメリカやイギリスなどでも広がりを見せています。

XEC系統は、KP.3系統と同様に高い感染力を持ち、免疫逃避能力も強化されていると考えられています。

XEC系統は、特に冬季における感染拡大の懸念を引き起こしており、今後の流行の中心となる可能性があります。

これにより、感染症対策やワクチン接種の重要性が再確認されています。

このように、KP.3系統とXEC系統は、変異株の進化の一環として、感染力や免疫逃避能力を高めながら広がっており、引き続き監視が必要です。

おわりに

新型コロナウイルスの特徴や感染力の研究結果を参考にしながら、しっかり予防対策行えば感染を回避できるので恐れることはありません。

【参照サイト】

来冬インフル流行と新型コロナ第2波が同時なら?米CDC所長の警告

新型コロナウイルスのワクチンはいつできる?開発の動向

厚生労働省

NIID 国立感染症研究所

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