年金額はどのような仕組みによって決まるのかを紹介します。65歳から受け取れる年金額は一度決定したらずっと変わらないと思っている方が多いようです。しかし年金額は毎年見直され改定されます。では何を基準にどこで年金額は決められるのかその仕組みを紹介します。
年金額を決めるのは厚生労働省
年金額を決めるのは厚生労働省です。例えば2020年度の年金額は次のように決められました。
2020年度の年金額は、総務省が1月24日に公表した「2019年平均の全国消費者物価指数」をもとに
厚生労働省が年金額改定を決めて公表しました。その結果、2020年度の年金額は昨年度より0.2%アップの「プラス改定」となりました。
厚生労働省が計算した「0.2%の根拠」
年金の財源はどこから?
年金を支給するには年金の財源が必要です。その財源はどこから調達するのでしょうか?
日本の年金制度は賦課方式を採用しています。この方式は現役世代が納めた年金保険料がその時の年金の財源となり、現在の年金受給者が年金として受け取ります。
まとめると、今働いている人達が納めた年金保険料からわたしたちの年金が支払われています。
ここで大きな問題があります。少子高齢化で現役世代が減少し高齢者が増加すると年金の財源が減り、高齢者に支払う年金が増加することになり、現役世代の負担が大きくなります。
現役世代の年金保険料の負担を減らす仕組み
若い現役世代が減少すると年金保険料を高くしないと年金を受け取る人の金額が賄えなくなります。その結果、現役世代の負担が大きくなり問題となってしまいます。
近年の様々な社会情勢の影響で増えない給与の中から年金保険料を支払うのですがさらに値上がりしたらその負担は大変なものとなります。
そこで、現役世代の負担が重くなりすぎない工夫が必要となります。少子高齢化が進んでも将来にわたって現役世代の負担が重すぎず、年金受給者は年金が受け取れるように調整する必要があります。
このように現役世代の負担を減らす調整する仕組みを「マクロ経済スライド」と呼びます。
現役世代の負担を減らす「マクロ経済スライド」の仕組み
厚生労働省では次の様に「マクロ経済スライド」を説明しています。
マクロ経済スライドとは、そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、年金の給付水準を自動的に調整する仕組みです。
引用:厚生労働省ホームページ
様々な要因で変化する社会情勢に沿って年金の金額を自動的に調整する仕組みを言うのです。
■「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」
■「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」
そして、この収入の範囲内で給付を行うため、「社会全体の公的年金制度を支える力(現役世代の人数)の変化」と「平均余命の伸びに伴う給付費の増加」というマクロでみた給付と負担の変動に応じて、給付水準を自動的に調整する仕組みを導入したのです。この仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいます。
引用:厚生労働省ホームページ
給付と負担の変動に応じて自動的に給付水準を調整する仕組みを「マクロ経済スライド」と呼んでいるのです。年金財政が長期にわたって均衡すると見込まれるまで、マクロ経済スライドによる調整が行われます。
5年に一度「調整期間」を見通す。
5年に一度行う財政検証のときにおおむね100年後に年金給付費1年分の積立金を持つことができるように、年金額の伸びの調整を行う期間(調整期間)を見通しています。
次の調整は令和6年に予定されています。
おわりに
年金額がどの様に決まるのかその仕組みを簡単に説明しました。マクロ経済スライドという仕組みを利用して自動的に給付水準を調整して決めているのです。