お正月用の餅つきは縁起のいい12月28日と30日が良いとされています。
ところが年末の12月ばかりではなく、お正月の1月にも餅つきがあるのはなぜでしょうか?
今回はお正月の餅つきの由来と年末と新年に餅をつく意味の違いを解説します。
餅つきをするのは子孫繁栄のため?
古くから稲を育ててお米を食べる習慣があった日本。
稲や米は生命力が強くなる神聖なものと考えられていました。
なぜお餅を食べるの?
ハレの日に縁起の良いお餅を食べていたという説があります。
「ハレ(晴れ)の日」とは非日常を表しています。
お正月、結婚式、成人式など大切な日のこと。
特にお正月はもっとも大切な日とされ、普段は食べられない「お餅」を食べてお祝いする日なのです。
餅をつくのは子孫繁栄を願う行事
餅つきには「子孫繁栄」「一族の繁栄」を願うための行事だといわれています。
餅つきに、臼(うす)と杵(きね)はが欠かせません。これにも意味があり、それぞれ女性・男性を意味していることが由来だとされています。
かつての日本では正月ばかりではなく、結婚式や家の新築祝いでも餅つきが行われていました。
餅をつく行事は「家」と関係が深いことから、「子孫繁栄」の願いが込められていたと言われています。
年末(12月)に餅つきする由来と意味
年末の12月28日、30日の縁起のいい日に餅つきをする理由は、「鏡餅(かがみもち)」を作るためにおこないます。
鏡餅の由来は、すでに奈良時代からと伝えられており、鏡餅をお供えする習慣があったといいます。
鏡餅とは、お正月に訪れる歳神様(としがみさま)にお供えするお餅です。
歳神様とは、地域によっては「歳徳神」「とんどさん」「恵方神」「お正月様」「トシドン」などなど呼ばれています。
歳神様はお正月になると各家々にやってきて、その家の1年間を守る神様だといわれています。
鏡餅には神様が宿るとされていて神様にお供えしたあとは、感謝していただくとご利益があると考えられています。
餅つきに良い日
餅つきに縁起がいい日は、12月28日と30日です。
理由は、日にちのごろ合わせ感からでしょうか。
- 12月26日:ろくなことがない
- 12月29日:二重苦・苦持ち
- 12月31日:一夜限り
地方によって例外もあり、12月29日:「ふく=福」をもたらす縁起のいい日なので餅つきをすることもあります。
正月(1月)に餅月する由来と意味
新年、お正月に餅をついて食べる由来と意味について解説します。
お正月(1月)に餅つきをする由来は、平安時代にさかのぼります。
歯を固めて一年を健康に過ごせますようにとの願いを込めた「歯固めの儀」との説があります。
つまり「お正月の餅つき」は、お雑煮に入れて食べるお餅を作るためにおこないます。
「神聖なお米で作った縁起のいいお餅を食べることは、神様の力を分けてもらえるとの意味がある」といわれています。
「歯固めの儀」とは、お正月に一年の健康や長寿を願い、餅・大根・串柿・かぶ・するめ・昆布などの固いものを食べて歯を固める儀式のこをいいます。
余談ですが、「齢」という字には「歯」という文字が入っています。これは「歯」→「年齢」→「長寿」という願いを意味しているといわれています。
お餅の形は地域で違う
お餅の形には「丸」と「四角」があります。
どちらの形を食べるのかは地域によって異なります。
一般的に東日本は「角餅」、西日本は「丸餅」ですが、両方とも食べている県もあります。
本来はお餅の形は丸形でした。
お餅を平らに伸ばして切り分ける四角の「角餅」が誕生したのは江戸時代からです。
その理由は、運搬しやすいからだとされています。
正月(1月)に鏡餅を食べる「鏡開き」の日と意味
歳神様がお帰りになられる1月7日までを「松の内」といいます。
その後、1月11日に「鏡開き」が行われ、お供えした鏡餅を下げていただきます。
「鏡餅」は、雑煮や焼き餅、おしるこにして食べられます。
お雑煮とは?
「お雑煮」は、神様のお供え物を食べたことから始まったとされています。
お雑煮に入れる具材は「その年の実りと幸せをもたらす」と言われています。
歳神様のお供え物の「鏡餅」「農作物」「海産物」を使い、「若水」(新年最初に汲んだ水)と「新年最初の火」で煮込んで食べたことが由来です。
また、鏡餅ではなく、新年の餅つきで作ったお雑煮用の餅を「歯固めの儀」で食べることを説明しました。
現代では境目がなくなっているかもしれませんね。
鏡餅を調理する時に包丁などの刃物を使うことは、武士の切腹を連想させることから縁起が悪いとされています。
木槌を使って鏡餅を割ってから調理するのが正しい調理方法です。