人は「境界」というものさしをもっています。
そのものさしからはみ出ると、普通ではないという判断をしてきました。
2020年は新型コロナという一つの要因も重なり「境界」が曖昧になってきました。
「境界」という概念が薄れるそんな時代がやってくるかもしれません。
人間がつくりだした「境界」
地球が出来てから46億年が経過し20万年前に私たち人類は生まれました。
地球上のどこにも「境界」などありませんでした。
海の生物は地上で暮らすために、相当な時間をかけて徐々に変化していきました。
水中のヒレを持つ魚類から、指のある足で大地を歩く動物へと進化をしてきたといわれています。
ここまでが海の生物の境界で、ここからが陸の生物の境界というラインはありません。
境界は無く、ゆるやかに滑らかに存在していることに気が付きます。
「境界」という固定観念
人類や動物はいつしからか「境界」とか「テリトリー」を持つようになってきました。
生きるための手段として食料を確保するためだったかもしれません。
そのような境界に慣れてきた人類は、境界線があることが当たり前だという固定観念が身についてしまったのです。
境界が「境界線」という区切りを生み、そのような見方が普通になり、そして世の中を見るようになりました。
例えば、海と陸の境界線です。
潮の干満により人間が定めた海と陸の境界線は時間によって変化します。
大潮や小潮でもその位置は変わり、変動はデジタル的に変わるのではなく、アナログ的に滑らかに変化します。
一方、人間よりも20億年昔から生きてきたウイルスの一つ「新型コロナウイルス」にとって境界はありません。もちろん人間が作った国境などは関係なく全世界に広がります。
仕事で海外に行ったときに境界について感じることがありました。
韓国では「美容整形」が女性ばかりではなく男性の管理職に至っては必須とも言え、シミひとつないきれいな顔にするため美容整形したりシミを取ったりします。女性も男性もなく美容整形が一般的です。
大まかすぎる解釈ですが、人間の歴史では、探検や開拓をするうえで航空機のない時代は船で未知の大陸を目指しました。なので大きな海の向こうにある外国を「海外」と呼んだといいます。
現在でもその時代のまま「海外」という言葉を使って自国との境界を意識しています。
「境界」という見方が生み出した弊害
近年、男女の境界がだんだん曖昧になってきました。
男性と女性の染色体の違いで2分的に違うのではなく、滑らかな変化のなかで分かれていることが分かってきました。
つまり、男子と女子という境界が曖昧になっているといえます。
LGBTとは、Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性別越境者)の頭文字をとった単語で、セクシュアル・マイノリティ(性的少数者)の総称のひとつを表す言葉です。
男性と女性の境界は「グラデーション」のようになっていて、明確に2分されているわけではないことが分かってきました。
電通ダイバーシティ・ラボ(2015年調査)によると、日本におけるLGBTの割合は人口の7.6%存在すると言われています。
明確な「境界」が存在しない自然世界に人間は境界を作ってしまったことで、国境も含めさまざまな弊害も起きてきました。
「境界」からボーダレスへ
一つの考え方ですが、新型コロナのパンデミックは本来は無かった国境をボーダレスにして感染拡大をしてきました。
こじつけのようですが、コロナが要因となり境界があいまいになってきた通勤。
会社と自宅という境界が在宅ワークやテレワークに代わってきました。
テレワークで、会社と自宅の場の境界があいまいになりました。ネットさえあればどこでも仕事ができるからです。
男女を別物として固定的に見てきたことが変化しています。
ニューヨークでジェンダーニュートラルをテーマにした世界初のセレクトショップ「The Phluid Project( ヒュルイド・ プロジェクト)」がオープンしたことも話題となりました。
欧米諸国を中心に同性婚を認める法律が制定されました。
日本は渋谷区が同性カップルを「結婚に相当する関係」と認めました。さらにその証明書を発行する条例も採択されたことは注目されました。
また、著名人や芸能界でもカミングアウトが相次いでいます。
LGBTは世界的に認知度が上昇し社会が、ようやく受け入れる環境が整い始めてきました。
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それまで人間が作った境界を超える「ボーダレス」な社会へと大きく動き始めた2020年。
人間が作った境界というものさしは、徐々に現状に合わなくなりつつあります。
そしていつか境界は消えてしまうのではないかというのがわたしの考えです。