人生100年時代を迎え、安心な生活のため老後資金の計画は必要だと言われています。
老後は収入が年金程度なので、いざという時のため貯蓄する方もいるでしょう。
では、老後資金があるとなぜ安心なのでしょうか?
しかし、老後資金をため込むことは本当に必要なのでしょうか?
そこで今回は老後資金を貯め込むより、生きているうちに使い切るメリットを考察してみました。
老後資金とは?
そもそも老後資金とは、なんでしょうか?
老後資金の定義
老後の生活費や趣味・娯楽、冠婚葬祭費など老後にかかる金額を老後資金と定義しています。
つまり、次の3項目の合計が老後資金のベースと言われています。
- 年金
- 貯蓄
- 退職金
老後のライフプランを立てるうえで、老後資金の算出は重要です。
今回、当記事で対象としているのは、貯蓄と退職金の合計です。
65歳以上の貯蓄金額の平均値
貯蓄の平均は2,462万円で、中央値は1,604万円です。
家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)図Ⅲ-5-1に公開されていました。
世帯主が65歳以上の無職2人世帯における貯蓄金額の平均値は2,462万円です。
最も多い層(中央値)は、1,604万円です。
また、貯蓄現在高が2500万円以上の世帯が約3分の1を占めている一方で、300万円未満の世帯は、全体の15.1%です。
参考:家計調査報告(貯蓄・負債編)2023年(令和5年)平均結果
老後資金を貯め込む理由は?
老後資金で2500万円以上が3分の1ですが、逆に300万円に満たない方は約15%です。
つまり、2500万円以上ため込んでいる方もいれは、300万円未満で生活できている方もいることが分かります。
なぜ、2,500万円以上も老後資金を貯め込んでいるのでしょうか?
その理由を考察しました。
- 年金だけでは生活できない
- 老後に突発的な出費があるかもしれない
- 老後の健康不安
確かにこのような不安を抱く方もいるでしょう。
この不安を抱くのは、定年前の50歳代ではないでしょうか。
実際に年金生活しているわけでは無いし、病気で大金がかかったわけでもない。
つまり、イメージが先行して不安になっていると見えます。
そこに、銀行では老後資金を安定させるべく退職金の資産運用を勧誘したり営業します。
また、老後も働くことが大事だと老体に鞭打って65歳以降も働くことを斡旋業者も活躍します。
それは全て、老後の不安を解消すべくための営業と言えます。
ますます、老後の資金不足が不安になり、使いたくても我慢することに拍車をかけていると思われます。
しかし、老後がどうなるかは誰にも予測はできません。
明日どうなるかすら、なんの保証もないのですから。
老後資金を貯め込んでも安心ではない?
老後資金を貯め込むことが悪いということではありません。
安心するのが一番なので、生き方は人それぞれです。
実は老後資金や財産には、問題点があるようです。
老後資金を使いきれずにこの世を去った時のことですが、相続の問題です。
相続でもめる財産の金額は?
「相続でもめるのはお金持ちの人でしょう!うちは関係ない」と思っていませんか?
実は、令和3(2021)年の司法統計年報に相続でもめた財産に関する統計があります。
遺産分割事案で裁判所に持ち込まれた件数の総数:6,934件
遺産の総額の内訳
- 1,000万円以下のケース:2,279件(約33%)
- 1,000万円超~5,000万円以下:3037件(約44%)
- 5,000万円超〜1億円以下:864件(約13%)
統計から、遺産が5,000万円以下での事案は全体の約80%。
つまり、遺産が少なくてもトラブルは頻繁に起こっているのです。
相続でもめる問題ベスト10
相続でもめた問題を調べてみると、次のような項目が浮かび上がってきました。
- 兄弟の仲が悪い
- 遺産は実家だけ
- 不動産が含まれている
- 介護負担が不公平
- 生前贈与が高額だった
- 特定の相続人に管理を任せていた
- 不公平な遺言
- 別に子供がいた
- 親の事業が複雑
- 内縁の配偶者
裁判に持ち込まれた事案としては、身近な問題ではないでしょうか?
財産があるが故の問題です。
裁判沙汰になるリスクが潜んでいるかもしれません。
専門的な解決は法律家におまかせすることにして、こんな問題があることを心得ておくのは大切です。
生きているうちにお金を使い切るメリット
生きているうちにお金を使い切ることは正しい生き方かどうかは、わかりません。
しかし、生きているうちにお金を使い切る生き方は、多くの経験と充実感を人生にもたらすと考えます。
一方で、やりたいことも我慢して、老後の不安を解消するためにお金をためておく方もいます。
こんな面白い本があります。
書籍名は「DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール」です。
執筆者は、ビル・パーキンスです。
2020年9月30に発刊されたダイヤモンド社出版の書籍です。
有名な寓話「アリとキリギリス」から生き方の疑問を投げかけています。
この中で、「アリはいつ遊ぶことができただろう?」という疑問の投げかけです。
問題の核心は「何のために貯蓄するのか?」です。
最終的に「人生でいちばん大切なのは、思い出を作ることだ」といいます。
つまり、経済的に豊かになるだけではなく、人生を豊かにするための方法を考えることが大切ではないかと疑問を投げかけています。
まとめ
生きているうちにお金は使い切りましょうというのがぼくの提案です。
実際に年金だけで充実した日々を送っています。
あの世に持っていけるのはお金ではなく「思い出」だと思っています。
最後に現実的になりますが、財産には色々な種類があるので、詳細は弁護士や法律家に相談してください。
ただ、素人でもわかることがあります。
それは、「遺産が現預貯金のみで金額もほどんどない場合」の相続です。
例えば、現預貯金が数万円程度しかない場合など。
金融機関によっては、相続人1人が窓口にいくことで解約できることもあるようです。
この手続きは、相続人全員の同意なしに解約できるので「簡易手続き」と呼ばれます。
注意点は、簡易手続きでも、他の相続人に必ず事前に同意を得ておきましょう。