老後と言うか定年後というか、ようは仕事が無くなって居場所も見つからないわたしたち「おっさん」の趣味の話です。
あしたから定年だと、定規で線を引いたようにその日から、ただの「おっさん」になるのですから、段差はかなりのものです。
失敗すると、段差に躓いたりひっかけたりして危険なのです。無理に趣味を見つけることも無いかもしれませんね。
BSのCMで年齢が異常に若い老人
最近テレビを見る機会が増えたのです。あのコロナの影響でテレビにしがみつく時間がなぜか増えてきたのです。
すると、年甲斐もなく若作りの年配の方が生き生きはつらつと道路を歩いたり、山を登ったり、妙にすべすべの真っ白な皴ひとつない年配のご婦人がCMでご活躍しているのが気にかかるのです。
オーストラリアの研究機関が2019年12月12日学術誌『Scientific Reports』に掲載した研究では推定38歳という驚くべき結果でした。
人は本来38才が寿命だというのです。
それなら納得できることがあります。定年間近は体力的にとても疲れたことを思いだします。国はそのうえ65才まで働けと旗を振っているのだから、余計に疲れるのです。
やっとゴールまで全速力て着いたのにテープがない?5年先にゴールが変更になりました、もう少し走って頑張ってください!と言われているようで、疲れるのです。
70代、80代で現役などとはとても信じられないのです。たぶん医療技術でなんとかサイボーグみたいに生かされているかもしれません。寿命を延ばしてギネスブックに載せようと頑張っているのでしょうか?
長生きはいいのですが、健康寿命があって、生きていても健康寿命を過ぎると介護や寝たきりになったり、ボケたりと、そこからがまた長いのです。
本来の寿命が38才だから2倍も長生きするのは、どこか無理があるかもしれませんね。
老後から趣味を見つける?
老後に趣味を見つけようと思いましたが、目の老眼が進んで本を読んだり、PCに向かって勉強したりするのは、かなり酷な話です。
老後は「こんな趣味があります」という記事を書いたことがあるのですが、自分で書いていてこれは夢があっても現実は無理だな・・・と思う事があります。
昔の老人は、自然を見たり、空を見たり、俳句を書いたりと、それなりに体を大切に無理しない楽しみがありました。
今は元気にエネルギッシュに生きる老人が世の憧れなので、〇〇エキスが何十倍入っているとか、これを続けると疲れを感じなくなったとか、おしっこの切れがよくなったとか、膝の関節によく効くとか・・・
ほんとうか?というCMが新聞からネット通販、最近ではTVのCMにまでシフトしてきました。やたら異常に元気なのです。エネルギーが余っている若者のようなのです。
販売市場が老人にシフトしているのは、きっと「埋蔵金が豊富にある」からなのでしょう。オレオレ詐欺に数百万円をパッと渡す老人のなんと多いことか。
老後に趣味を見つけるのは、どこか無理があるようで痛々しいのです。
ボ~っとゆっくり生きる省エネの老後
東京工業大学名誉教授(専門は生物学)で本川達雄(もとかわ たつお)という先生がいます。この先生からナマコの省エネな人生を学んだのです。
ナマコのことを知ればしるほど、ナマコを尊敬できるようになってきたというのです。
ナマコはあまり動かず神経の発達していないものたちです。ヒトとは生き方がまったく違うといいます。
その生き方は何もせずにゆったりのったりしていて、まな板にのっても決してじたばたしないのです。ナマコは省エネに徹していて海底で天国を作っているといいます。
眼、耳、鼻などの感覚器官がないので情報処理する脳が大きい必要もないのです。非常に省費エネルギーで、哺乳類の1/100、貝類の1/10です。なので餌は少なくていいので、砂を食べて少しばかりの微生物でエネルギーを補給しているのです。
人間は地上に天国を作ろうとせっせと働いていて、その分大量にエネルギーを使ってます。
ゆったりとナマコの様に時間を長く使えばエネルギーは長持ちします。しかし人間は膨大なエネルギーをどんどん使っていて消費する時間も相当早まっているのです。
現役世代は早く動かないと社会の競争に負けてしまうのでそれはしょうがないのです。
しかし、定年になったら生き方の速度を落として生きると、その分資源もエネルギーも使わなくて済みます。この事で次世代へ資源を渡せると本川先生は教えています。
サプリを飲みながら無理してまで現役世代の様な速度の速い生き方は卒業して、ナマコの様な省エネでゆったりとした天国の時間を使って老後は暮らしたいものです。
趣味も無理して探さないでもいいと思うのです。老後はありのままがいいのです。