九州のご当地ラーメンといえば、まっさきに思いつくのが「博多ラーメン」ではないでしょうか。
九州でとんこつラーメンの元祖といえば「久留米ラーメン」ですね。
ややっこしくなりますが、福岡には「久留米ラーメン」「博多ラーメン」、そして今回紹介する「長浜ラーメン」が同居しているのです。
地元の方でも説明に迷う「博多ラーメン」と「長浜ラーメン」の違い。
福岡・ご当地ラーメンの「長浜ラーメン」には、どんな歴史があるのでしょうか?
この記事では、はじめに長浜ラーメンの歴史、長浜ラーメンの特徴、博多ラーメンと長浜ラーメンの関係についても紹介します。
福岡には、公私ともに何度も足を運んでいますが、長浜ラーメンと博多ラーメンの違いが明確ではなかったのです。
最近では「博多長浜ラーメン」という呼称も生れたくらいです。
今回、調べることができました。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
ご当地「長浜ラーメン」の歴史
「長浜ラーメン」は、白濁したとんこつスープに博多ラーメンより細めんのシンプルでコクのあるご当地ラーメンです。
博多ラーメンとの違いがなかなか分かりにくいのも事実です。
同じ市内にある長浜ラーメンは、博多ラーメンがルーツといっても過言ではありません。
そして、博多ラーメンも長浜ラーメンも「とんこつラーメン」で、その源流は「久留米ラーメン」と言われています。
この関係は奥が深いので、この記事では「とんこつスープ」の流れから、簡単に説明していきます。
はじめに、九州発祥のとんこつスープについて簡単に紹介します。
九州のとんこつラーメンの元祖といえば久留米の屋台「南京千両」さんです。
1937年(昭和12年)に端を発する「久留米ラーメン」の源流になります。
スープは「澄まし作り」で白濁していないものでした。
たまたま、南京千両さんとは別の屋台「三九」さんがいて、同じく澄まし作りのとんこつスープを作っていたのです。
スープの火加減を他の人にまかせて出かけたと言います。
出先から戻ってスープを見ると、火加減の手違いから煮詰まって「白濁」してしまったのです。
スープとしては大失敗!
しかし、もったいなので調味料を加えて食べてみたら、とっても美味しかったというのです。
これが、九州とんこつスープが初めてできた時の話です。
この話を抜きにしてご当地とんこつ「長浜ラーメン」はかたれないので、簡単に説明しました。
久留米ラーメンの誕生は1937年(昭和12年)で、博多ラーメンは1941年(昭和16年)。
その後、1952(昭和27年)に開業したのが屋台「元祖長浜屋」さんで、長浜ラーメンの発祥と言われてます。
最初は中洲の町中にあったのですが売れないので、漁業関係者の多い魚市場前に移転したと言います。
1955(昭和30)年に博多・築港本町の魚市場がの長浜に移転「福岡市中央卸売市場鮮魚市場」となりました。
それに伴い、博多から長浜に移転した店もあったとも言われています。
なので長浜ラーメンは、博多ラーメンの後にできたのです。
長浜ラーメンの特徴
博多ラーメンには、従来の澄まし作りの「白濁していないとんこつスープ」と失敗から生まれた「白濁したとんこつスープ」の2種類がありましたね。
当時の「三馬路」(さんまろ)の澄んだスープと白濁したスープの元祖「赤のれん」さんです。
博多ラーメンは「白濁したとんこつスープ」が主流となっていきました。
長浜ラーメンは「白濁したとんこつスープ」を継承していると言えます。
長浜ラーメンの細麺は博多ラーメンよりもさらに細く、通常1分以上かかる湯で時間が、15秒前後を短いのです。
長浜で働く関係者が、サッと食べられるように細めんで仕上げています。
博多ラーメンと長浜ラーメンの関係
博多・築港本町の魚市場が1955年(昭和30年)に長浜に移転して「福岡市中央卸売市場鮮魚市場」となりました。
この移転にともない、それまで博多にあったラーメン店も長浜に移転したといいます。
長浜のラーメンは博多ラーメンよりも細く、通常1分以上かかる湯で時間が、15秒前後を短いのです。
長浜で働く関係者が、サッと食べられるように細麺で仕上げています。
細麺を使う理由は、魚市場で働く忙しい人達が入店後すぐにラーメンを食べて仕事に戻れるようにするためでした。
つまり、一般的に中華麺は1分以上かかる茹で時間が、細麺なら15~20秒前後と素早くできるためです。
細麺を取り入れたのは、中央区長浜の「元祖長浜屋」ともいわれています。
麺の茹で方の表現
現在、福岡のほとんどのラーメン店では、ゆでる麺の硬さを聞かれることが一般的で独特の表現があります。
「バリカタ」「カタ」「普通」「やわ」「バリやわ」などで、バリは福岡の生活に密着したことばです。
「バリ」の意味は「非常に」「とても」ということです。
翻訳すると「バリカタ」は「とてもかたい」、「バリやわ」は「とてもやわらかい」というところでしょうか。
専門店の方の話では、「バリカタほどのびやすい」といいます。
麺の茹でかたが硬いと「麺はもっとスープをすえるよ!」という状態で、伸びる時間も速いそうです。
一方、「バリやわ」になると、麺はこれ以上スープを吸えないほどやわらかくなっているから、それ以上はのびないようです。
長浜ラーメンでは呼び方が違います。
長浜ラーメンの元祖「元祖長浜屋」さんの系統では、「ナマ」「カタ」「やわ」と呼ばれます。
バリカタは生に近い茹で方なので「ナマ」というのですね。
注文する時は「ナマ」といい、「バリカタ」とは言わないのです。
替え玉の文化
替え玉は、長浜ラーメンが元祖と言われています。
これも市場で忙しい人たちのための工夫から生まれたようです。
お客さんが「もうし少し、食べたいから、麺だけほしい」という要望に応えたものだったそうです。
「サッと茹でて、約10秒台で出せる替え玉」
細麺でサッとゆであがる替え玉は、すぐに多忙で職場に戻らなければならに時に、大好評だったと言えます。
今では久留米ラーメンも博多ラーメンも「替え玉」が一般的になっていますね。
まとめ
ここまで「福岡・ご当地「長浜ラーメン」の歴史と特徴。博多ラーメンとの違い」について紹介してきました。
長浜ラーメンは、ご当地の「市場で働く、忙しい人がすぐに食べて、仕事にもでれること」が発想の原点でした。
なので、麺は博多ラーメンよりもさらに細く、短時間でゆであがります。
替え玉はお客さんが、「もう少しだけ麺をくれ!」という要望に、10秒台で提供できるワザを生んだとも言えます。
福岡に訪れた時には、博多ラーメンに加えて。長浜ラーメン、そして元祖とんこつスープの久留米ラーメンを食べ比べてみるのも面白いですね。