ラーメンの種類は「醤油ラーメン」「塩ラーメン」「味噌ラーメン」「とんこつラーメン」などさまざまです。
ラーメンを調べてみると「とんこつのだし」「鶏ガラのだし」「魚介類のだし」さらには「野菜のだし」とか、Wスープで「とんこつ・鶏ガラ」に「魚介類」のだしを加えるなど、種類は多く様々です。
ラーメンのスープの種類はどれくらいあるのでしょうか?
この記事では、全国ご当地ラーメンの歴史をふまえて、ラーメンスープの種類を紹介します。
また、ラーメンの基礎知識のラーメンスープとだしの仕組みをしっかりと知ることができます。
ラーメンのスープはとても奥が深く、その作り方は無限大といっても過言ではありません。
全国のご当地ラーメンがどのようにできたのか、どんなスープを使って現在のラーメンに継承されてきたのかスープの源流を調べてまとめてみました。
ラーメンスープの構成3要素
![東京ラーメン 定番の醤油ラーメン](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/tokyo-ramen-2.jpg)
ラーメンは「麺」「スープ」「具材」でできています。
その中でスープはラーメンの種類を分けるほど重要な役割を果たしています。
醤油ベースなら醤油ラーメン、塩味ベースなら塩ラーメン、味噌味ベースなら味噌ラーメンになります。
しかし、ミステリーはそのスープを分析することから始まります。
単に醤油スープといっても醤油をお湯で薄めているわけではありません。
まだ、醤油や塩、味噌で味付け前の「だし」というのがあります。
このだしに醤油や塩、味噌で味付けしてこそラーメンのスープができあがります。
さらにスープに香味油といわれる「香りをしみこませた油」でおいしいラーメンになります。
つまり、ラーメンのスープは、「だし」「タレ」「香味油」の組合せでつくられます。
ラーメンスープのだしの基本は2系統
ラーメンのスープの元になる「だし」には、大きく2種類あります。
参考ですが「だし」は「ダシ」や「出汁」とも書きます。
「だし」は、とんこつや鶏ガラ、魚介類、野菜などの食材を煮出して作ります。
煮出した後の液体部分だけのことで、スープのベースとなり「うま味」という重要な役割をはたしています。
だしには次の2種類があり、作り方が違います。
「白湯(ぱいたん)」と「清湯(ちんたん)」です。
「白湯」とは、白く濁った「だし」のことです。
![福岡ご当地・久留米ラーメン 九州とんこつ発祥の白濁スープ](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/kurume-ramen-2.jpg)
豚骨や鶏骨などの素材を使って、強火で沸騰させながら煮込んで作ります。
「清湯」とは、透明で澄んだ「だし」のことです。
![福島ご当地・喜多方ラーメン 醤油ベースの澄んだスープ](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/kitakata-ramen-1.jpg)
豚骨や鶏骨などの素材を使うのですが、煮立ち過ぎないよう弱火でゆっくり煮詰めて作ります。
白湯のだしを使っているラーメンには、九州ご当地・久留米ラーメン、博多ラーメンが有名です。
清湯のだしでは、東京ラーメン、喜多方ラーメンなどが有名です。
だしの素材
ラーメンスープのだしに使われる素材は、主に次のものが一般的です。
とんこつ(豚骨)
とんこつ(豚骨)はもっとも一般的に使われる材料です。
旨味成分のイノシン酸を多く含み、コラーゲンが多いのが特徴です。
ゼラチン質が多いので「強いコク」のあるスープになります。
強火で煮込むと、ゼラチン質によって白濁したスープになります。
とんこつラーメンのスープには、白濁させた白湯だしを使う店主が多いです。
専門的になりますが、とんこつにも部位によって「ゲンコツ」「アバラ」「背骨」「豚足」「豚頭」の5種類あり、だしの特徴も違ってきます。
鶏ガラ
鶏ガラはグルタミン酸を多く含んでいます。
豚骨よりもコラーゲンが少ないため、だしは澄んだ透明なスープに仕上がります。
また、丸鶏を使うと濁りのない濃厚なだしになります。
専門的になりますが、「丸鶏」の説明をしておきます。
丸鶏の「丸」とは、羽と足先(モミジ)のみを取り除き、内臓はそのままです。
また、同じ丸鶏でも「中抜き」というものがあります。羽、頭、内臓を取り除いているものです。
あっさりと上品なスープに仕上げるワザとして、鶏の足先「モミジ」を使うこともあります。
魚介類
![](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/tugaru-ramen-1-1024x726.jpg)
よく使われるのが「節類(ふしるい)」と言って、かつお節などです。
また、昆布など複数の材料を組み合わせてだしを作ります。
かつお節のイノシン酸や、昆布のグルタミン酸を合わせれば旨味がさらに増します。
津軽ラーメンのように、イワシやアジ、サバなどの焼干しだけを使ったスープもあります。
工夫のしどころですね。
その他、よく使われるだしの材料
イワシ、アゴ、サンマ、アジ
サバ節、かつお節
ホタテ
昆布
干し椎茸
香味野菜(臭い消し用)
玉ねぎ、ニンニク、生姜
その他、りんご、柚子、セロリ、人参、長ネギ、じゃがいも、キャベツ等
ラーメンスープの基本は3大味付け
だしはうま味の点で重要な役割をはたします。
しかし、だしに味付けをしてはじめて美味しいラーメンスープになります。
だしを味付けするのが「タレ」です。
タレは3種類 「醤油ダレ」「塩ダレ」「味噌ダレ」です。
「醤油ダレ」なら、醤油ラーメンのスープになり、「塩ダレ」なら塩ラーメンのスープになり、「味噌ダレ」なら味噌ラーメンのスープになります。
次に、各タレの説明をしていきます。
「醤油ダレ」の種類
![醤油ダレの定番 ご当地・東京ラーメン](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/tokyo-ramen-1.jpg)
醤油ダレには、淡口醤油、濃口醤油、溜まり醤油、白醤油などの種類があります。
ご当地の気候や郷土性により最適な醤油が選ばれています。
一般的には、スープの風味を壊さない点で淡口醤油が好まれます。
淡口醤油
スープの持ち味を生かしたい時に使います。
濃口醤油
強い香りを出したい時に使います。
ご当地・徳島ラーメンの「黒(茶)系スープ」では、とんこつスープを濃口醤油やたまり醤油で味付けをしているのは有名です。
溜まり醤油
濃厚な大豆特有の旨味と香りをつけたい時に使います。
白醤油
コハク色の透明な醤油なので風味や色を生かす時に使います。
ご当地・徳島ラーメンの「白系スープ」が白醤油か薄口醤油をつかっています。
とんこつスープを薄口醤油や白醤油で味付けしています。小松島系と呼ぶこともあります。
「塩ダレ」の種類
![北海道ご当地・函館ラーメン 塩スープ](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/hakodate-shioramen2-1.jpg)
塩は最もシンプルな味付けなので、塩の種類と使い方の腕が問われます。
店主の中には、タレを使わず塩だけで味付けする方も少なくありません。
「塩」の選定が塩ラーメンの味を左右することに間違いはありません。
塩には精製塩、自然塩、海塩、岩塩などがあります。
塩ラーメンの使われたことがある塩の事例を紹介します。
国産の塩
瀬戸のほんじお
備前・岡山の海水が100%原料の純国産の塩です。伝統的な塩の産地である備前・岡山の海水のみを原料とし、さらに海水のくみ上げから製塩まで、岡山の工場で一貫して生産している国産の塩です。にがりも瀬戸内の海水から採っています。
シママース自然海塩
沖縄の海水塩です。とんこつの味を生かす熊本ラーメンに使っている店主もいます。
伯方の塩
減量は輸入塩で、海水を自然の風と太陽熱で蒸発結晶させた塩。
その塩を日本の海水で溶かしてミネラルをほどよく残した塩です。
海外の塩
福塩
中国福建省の塩で、ミネラルが豊富でまろやかで旨味のある塩です。
天外天塩
内モンゴルの湖塩から生まれた塩で塩湖底表面の塩の花(結晶)を掬い上げ精製しています。
天日塩
内モンゴルの湖塩から生まれた自然塩。湖の塩を天日干にしたものです。
岩塩
モンゴルの一億年以上昔の地層から採掘された岩塩です。
「味噌ダレ」の種類
![北海道ご当地・札幌ラーメン 味噌スープ](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/sapporo-miso-ramen-2.jpg)
味噌ラーメンは、札幌市内の大衆食堂『味の三平』店主の大宮守人によって1955年に考案されたのが始まりとされています。
その後全国に広がった味噌ラーメンは、ご当地の味噌を使っている店が多くあります。
味噌ダレに使う味噌は、ご当地ラーメンの郷土性によって様々な種類の味噌が使われています。
例えば、信州味噌、豆味噌、八丁味噌、麦味噌などがラーメンに使われています。
香味油
ラーメンの香りと味を引き立たせるのが「香味油」(こうみゆ)があります。
香味油とは、香りのある素材を食用油に入れて加熱し香味を油に移したものです。
代表的なものに、ラード、鶏油(ちーゆ)、マー油、背脂(せあぶら)などがあります。
ラード
![醤油ラーメン ラードが表面に浮いています。](https://ossans-club.com/blog/wp-content/uploads/2021/06/sapporo-syouyu-ramen.jpg)
豚の脂を加熱して溶かし脂肪分を固めたもので、ラーメンではよく使われます。
醤油ラーメンの旭川ラーメンでは、ラードを混ぜて湯気をおさえ冷めにくくしています。
寒い地域のご当地ラーメンのワザですね。
鶏油(ちーゆ)
鶏ガラの脂肪を過熱して作った脂で鶏特有の香りがします。
マー油
ニンニクをラードで揚げて焦がした黒い油です。有名なのは熊本ラーメンです。
背脂(せあぶら)
豚の肩ロースの外側にある脂身です。上品な旨味があります。
尾道ラーメンの背脂のミンチは、スープに浮いていて絶妙な味を出しています。
ラーメンスープの組み合せは無限大
ラーメンのスープを作る組み合わせは、無限大といっても過言ではありません。
「白湯(ぱいたん)」と「清湯(ちんたん)」を作る時に使う食材は多くの種類があります。
また、味付けの醤油ダレ・塩ダレ・味噌ダレにも様々な種類があります。
これらの組合せだけでも、数えきれないほどの種類になります。
麺の種類、具材の種類、香味油の種類の組合せもあります。
近年は、ご当地ラーメンの常識を打ち破った新し進化したラーメンの登場で、さらにその種類は爆発的に増えています。
まとめ
ここまで「ラーメンスープの源流と種類。歴史から知るスープの基本」について紹介しました。
ご当地ラーメンを食べる時に、スープができるまでの食材や技法を調べてみましょう。
さらには、ご当地ラーメンの歴史を振り返りながら、一杯のラーメンを食すれば、美味しさはもっと深いものになることは間違いないでしょう。