山形県北部の最上地方は、全国屈指の豪雪地帯として知られています。
その中心部にあるのが新庄市です。
新庄市には、全国でも珍しいご当地ラーメンがあると聞きました。
なにが珍しいのかといえば、そのネーミング「とりもつラーメン」です。
豪雪地帯で食べられてきた、ご当地「とりもつラーメン」にはどんな歴史があるのでしょうか?
この記事では、豪雪地帯「新庄」とはどんな土地なのか、そこで生れた「とりもつラーメン」とはどんなラーメンなのか、を紹介します。
実際に山形・新庄まで行ってみました。
老舗のご当地ラーメン店で「とりもつラーメン」のレビューも紹介します。
山形新庄・ご当地「とりもつラーメン」は豪雪地域に?
山形県は日本百名山を有し「最上川」が流れる大自然の美しい地域です。
国土交通「省豪雪地帯・特別豪雪地帯の指定(令和3年4月1日現在)」によると、県内全域が「豪雪地帯」に指定されています。
その中の26市町村は「特別豪雪地帯」に指定されています。
全国有数の豪雪県です。
その中でも「新庄市」は、全域が「特別豪雪地帯」の指定地域なのです。
日本屈指の豪雪地帯で山間部の新庄は、海から遠く新鮮な魚介類が手に入らない厳しい時代がありました。
当時の農村部では、祝い事の時には鶏を1羽捌いて振舞うという習慣があったようです。
とりもつは当時貴重なタンパク質がとれる食材として、煮込み料理に使われてきた歴史がありました。
さらに資料を調べてみると、この風習はごく一部の地域でのことだったようです。
山形新庄・ご当地「とりもつラーメン」の歴史
とりもつラーメンの歴史は、意外と最近になってできたようです。
豪雪地帯でもあり、祝い事で鶏を1羽捌いたりすることから「とりもつラーメン」の原点があるのではないかと思っていました。
でも、よく調べると新庄で昔から食べられてきたラーメンは、鶏ガラスープの醤油ラーメンが主流だったことが分かりました。
では、なぜ「とりもつラーメン」ができたのでしょうか?
それは、居酒屋から始まったようなのです。
そもそも居酒屋で鶏のモツ煮を出していたところ、ラーメンといっしょに鶏のモツ煮込みを頼んで食べる客が増えて、その味が絶妙なことに気付いた客がいたようです。
これがきっかけとなり、ご当地ラーメンのブームにのり「とりもつラーメン」へと定着していったという説もあります。
結構、最近のことのようでした。
とは言え、豪雪地帯の山間部で当時の流通が不便なことから、祝い事で鶏をさばいた時代があったことは事実です。
その事はごく一部の地域であったとしても、とりもつラーメンができた背景に関係がないとは一概に言えないような気がしています。
山形新庄・ご当地「とりもつラーメン」の特徴
「とりもつラーメン」で使われるのは、赤モツです。
赤モツとは、心臓・砂肝・キンカン(卵巣)などの部位です。
赤モツ独特のコリコリとした食感などがラーメンの味を引き立たせてくれます。
ぼくがとりもつラーメンを食べたのは、「中華そば末広」という老舗です。
この店ではとりもつラーメンを「スタミナラーメン」と呼び、客のほとんどが注文するメニューです。
鶏ガラのシンプルなスープで、旨み・コク・香りには大満足です。
中細麺を使っています。
鶏のモツ煮は、砂肝が柔らかく、キンカンの食感は絶品ではないでしょうか。
もう一度、食べたくなるのが「とりもつラーメン」の魅力です。
まとめ:ご当地「とりもつラーメン」の歴史と特色
ここまで「豪雪地帯・山形最上地方ご当地「とりもつラーメン」の歴史と特徴について紹介しました。
豪雪地帯で町おこしやご当地ラーメンブームの波にのり、広がったという「とりもつラーメン」。
でも、あの末広のレトロなテーブルに座ったとたんに、おばあちゃんの田舎を思い出しました。
やはりどこか豪雪地帯のDNAが宿っているような「とりもつラーメン」が忘れられません。