栃木県のご当地ラーメンは「佐野ラーメン」がとても有名です。
佐野市は栃木県のなかでも人口は第5位12万人の街です。
またゴルフ場の多さは全国第4位の県でもあります。
なぜ佐野でご当地ラーメンが有名になったのか不思議なのです。
佐野ラーメンには、どんな歴史があるのでしょうか?
この記事では「佐野市とはどんな街なのか」「佐野ラーメンの歴史」「佐野ラーメンの特徴」をまとめました。
栃木県・佐野市とはどんな街?
佐野市は、栃木県の南西部に位置する市で、 人口は12万人。
足利市に次ぎ栃木県では第5位の街になります。
2005年2月28日に旧佐野市、安蘇郡田沼町、同郡葛生町の新設合併により発足しました。
どこにあるのか簡単な地図をのせましたのでご覧ください。
万葉集に詠われた風光明媚な歴史と伝統の街でもあります。
万葉の時代と佐野
万葉集に現在の栃木県にあたる下野国(しもつけのくに)を詠んだ和歌が2首あります。
その一つは、
「下毛野安蘇の河原よ石踏まず空ゆと来ぬよ汝が心告れ」(栃木県史・史料編古代)
この文の最初に下毛野「安蘇」がありますね、現在の佐野市一帯のことです。
ゴルフ場数は全国4位
また、栃木県はゴルフ場の数は、全国のゴルフ場ランキングでは第4位の多さです。
1980年代頃に数多く造られました。
ゴルフ市場活性化委員会(GMAC:Golf Market Activity Committee)のデータから、2020年4月~6月のゴルフ場数のランキングで5位までを紹介します。
1位:千葉 163
2位:兵庫 161
3位:北海道 150
4位:栃木 120
5位:茨城 114
恵まれた自然と水
気候は、湿度の低い冬と内陸型の蒸し暑い夏があります。
そして県指定天然記念物「出流原弁天池の湧き水」は、日本名水百選にも数えられる良質の水にも恵まれています。
この様な佐野に生れた、ご当地「佐野ラーメン」には、どんな歴史があるのでしょうか?
ご当地・佐野ラーメンの歴史
佐野市内には昔からラーメン店が多く存在していました。
昭和初期に、まだ人口が約5万人だった街に160軒近いラーメン店があったといいます。
当時、佐野の主な産業は繊維業でした。
そこで働くお母さん方は忙しく、家庭では食事ですぐに食べられる「ラーメンの出前」が利用されていました。
出前のラーメンは、佐野の産業を支える人々の食べ物として、生活に深く根付いたものだったと伝えられています。
この様に、もともとこの土地で食べられていたラーメンを、ゴルフ客が口コミで伝えたことから始まります。
先に説明した通り栃木県ではゴルフ場の数が全国第4位と大変多く、ゴルフ客がラーメン店をよく利用しました。
そこで食べたラーメンが評判を呼んだのが口コミのきっかけとなり、最終的においしいラーメンが町おこしの特色となっていきました。
結果、ご当地「佐野ラーメン」と呼ばれるようになり、全国にまで広まっていきました。
佐野ラーメンの特徴
醤油ベースの「澄んだスープ」とコシのある「ちぢれ麺」を提供している店が多くあります。
醤油ベースの澄んだスープ
醤油ベースの澄んだスープを作るには、店ごとに様々な工夫がされています。
佐野ラーメンの中から、代表的なお店のスープを書き出してみました。
・鶏ガラベースのあっさりと澄んでいるスープ
・魚介系と香味野菜で作られたスープ
・鶏ガラの薄味醤油スープに隠し味でカツオの風味
・サバ節や大量の牛肉などからダシを取ったスープ
・魚介系ベースに豚骨等の動物系の食材を合わせた清湯スープ
・とろみのある豚骨スープと、煮干しサバ節等の魚介スープのダブルスープ
・豚、鶏ベースの醤油スープ
・鶏ガラ・豚・カツオのソウダ節などを使用したスープ
これらのスープは、醤油ベースの澄んだスープが特徴となっています。
青竹打ちの平麺
麺は「青竹打ちの平麺」を用いているのが「佐野ラーメン」の特徴となっています。
もちろん佐野ラーメン全てがこの方法をとっているわけではありません。
「青竹打ち」とは、青竹に脚をかけ、竹の下に麺の材料となる練った小麦粉の塊を置き、体重をかけて延ばしていく方法です。
コシの強い麺となり、太さは中太から細麺、平打ちなどがあります。
最近の麺の製法について、代表的な8店を調べてみました。
・青竹打ちで中太の自家製麺
・青竹手打ち中太麺でやや縮れ気味
・自家製麺の中太麺
・自家製青竹手打ち麺で程よく縮れている
・極太の自家製麺
・青竹手打ち麺。太さにばらつきのあるモチモチの麺
・中太平打ちの縮れ自家製麺
青竹打ちの製麺技法は、独自の味とコクを引き出します。
青竹打ちの麺の特徴は、中に気泡が多いことで熱伝導が良くなり短時間で茹で上がります。
その結果、腰の強いおいしい舌ざわりが味わえる麺となります。
具材はいたってシンプルで、チャーシュー、刻み長ネギなどが使われます。
まとめ
ここまで、栃木県のご当地「佐野ラーメン」の歴史。
青竹手打ち麺と黄金の清湯スープについて紹介しました。
佐野の当時の主な産業だった繊維業で働く忙しいお母さんたち。
そこで利用した出前ラーメンがそのルーツだったことも分かりました。
佐野の万葉からの文化と自然、そして産業に根付いたご当地・佐野ラーメン。
生活に根付いたご当地ラーメンとして今もおいしさを継承しています。