北海道のご当地ラーメン「旭川ラーメン」はどんな歴史と特長があるのでしょうか?
今回は旭川ラーメンが生まれた旭川の文化と旭川ラーメンの歴史と特徴を解説します。
ご当地ラーメンを生んだ北海道・旭川の文化
北海道には3大都市「札幌」「旭川」「函館」があります。
それぞれにご当地ラーメンが有名です。
北海道旭川市では「旭川ラーメン」が有名です。
旭川市は北海道の内陸部「上川盆地」の真ん中に位置している人口約33万人の都市です。
旭川の気候は冬はマイナス20度を下回る日もあります。
1~2月の早朝には「ダイヤモンドダスト」に出会うこともあります。
年間雪日数が100日を超える地域ですが、夏は25度を超える日もある寒暖差の激しい気候が特徴です。
「旭川ラーメン」は、この気候と土地に根差している特徴のあるご当地ラーメンです。
旭川ラーメン発祥の歴史
旭川は北海道の中心部にあるため、海には面していません。
しかし、古くから物流の拠点としての役割をはたしていました。
内陸部でありながら海産物は手に入れやすい土地でもあり、このことが旭川ラーメンのスープにも影響を与えたのではないでしょうか。
ご当地・旭川ラーメンの発祥は様々な説があります。
1936年創業「八条はま長 」説
その中でも、最近2015年に閉店となった「八条はま長 」(はちじょうはまちょう)の存在があります。
「八条はま長 」は、旭川ラーメンのルーツとして口コミでも有名。
1936年創業で2015年までの約80年の歴史をもつ店でした。
1936年(昭和10年)に旭川でラーメンをメニューに出した蕎麦屋として知られています。
人気があったのラーメン店なので閉店となったのは残念です。
1934年開店の「芳蘭」説
「八条はま長」がラーメンをメニューに出した1936年(昭和10年)よりもさらに2年前の1934年(昭和8年)。
札幌ラーメンの元祖と言われている「竹屋食堂」が旭川に支店「芳蘭」を開店したのです。
この竹屋食堂の支店「芳蘭」こそ、旭川に中華麺の文化をスタートさせたという説もあります。
戦後になると、1947年(昭和22年)創業の2店、「蜂屋」と屋台の「青葉」がラーメンの営業を開始しました。
旭川ラーメンの特徴でもある「Wスープ」「低加水麺」が形成されていったと言われていて、現在の「旭川ラーメン」の特徴をすでに持っていたようです。
1950年代に入ると「特一番」、「天金」が創業して旭川ラーメンの源流を定着させていったと思われます。現在の旭川ラーメンに続いています。
ご当地・旭川ラーメンの特徴
旭川ラーメンには次の特徴があります。
- Wスープを使う
- スープにラードを入れる
- シンプルな麺と具材
この特徴を解説します。
特徴1.Wスープ
旭川ラーメンの特徴のひとつはスープにあります。
「Wスープ」です。
「Wスープ」とは、魚介類のだしと、豚骨・鶏ガラ・野菜のだしをあわせたスープです。
先に説明したように、旭川は内陸部にありながら、流通の拠点。
つまり海産物が容易に手に入ったようです。
なので、スープにも魚介類をだしとして利用できるメリットがありました。
Wスープは醤油ダレで味付けをしています。
旭川では多くのラーメン店でこのスタイルが採られています。
特徴2.スープにラードを入れる
さらに、ご当地ならではの特徴があります。
スープにラードを入れることです。
ラーメンのどんぶりをみるとスープにたくさんの油が浮いているのに気が付きます。
醤油ダレのスープにラードが入ることで、スープの表面に油膜ができます。
つまり「ラーメンから立ち上がる湯気をおさえ、ラーメンが冷めるのを防いでいる」と言います。
旭川の冬は厳しい気候。
氷点下20度~30度の環境のなかから生れたと、ご当地ならではの知恵ではないでしょうか。
特徴3.シンプルな麺と具材
麺は中細のちぢれ麺が特徴となっていて、多くの店で採用されています。
具材は、ネギ、チャーシュー、メンマといたって昔ながらのシンプルなものです。
現在では、これらの歴史を継承する旭川ラーメンもあれば、さらにバリエーションをくわえた特製のラーメンも出て来ています。
まとめ
ここまで「北海道・ご当地「旭川ラーメン」の歴史。冷めにくい醤油スープとは?」についてしょうかいいたしました。
昔から流通の拠点として栄えた旭川だからこそ、内陸部でありながら魚介類が手に入りWスープで提供することができたのですね。
ダイヤモンドダストができるくらい気温が下がる旭川で、ラードをたくさん使った醤油ベースのスープは、気候が生み出したワザでもありました。
厳し気候と古からの物流の拠点のなかで誕生した、ご当地「旭川ラーメン」をあらためて食べたくなってきました。
【参考】北海道・旭川市公式サイト
https://www.city.asahikawa.hokkaido.jp/