今や日本人の国民食として老若男女問わず、多くの人から愛されるラーメン。
ラーメンが好きな人は少なくはありません。
ラーメンの基本はとてもシンプル。
シンプルだからこそ奥が深いとも言えます。
その1つの重要な要素が「麺」。
ラーメンの麺には、ストレートな麺、ちぢれ麺、丸い麺、平たい麺など様々な種類があります。
そして、ラーメンスープの種類によっても違う麺が使われています。
使う麺の種類によって、完成するラーメンの味までも変えてしまいます。
この様に、何気なく食べているラーメンの「麺」は奥が深く疑問がたくさんあります。
ラーメンの麺にはどんな種類あるのでしょうか?
この記事では、「ラーメンの麺の材料と作り方」「麺の太さの種類」「麺とスープの関係」について紹介します。
この記事を読むと、店主はどんな組合せで個性を出したラーメンを作っているのかが分かってきます。
ラーメンの麺の原料
ラーメンの麺は、
- 水
- 小麦粉
- かんすい
の3つの原料でできています。
非常にシンプルです。
「かんすい」を初めて聞くかたもいると思うので説明します。
「かんすい」の基礎知識
ラーメンで使う「中華麺」が持つ独特のコシと香りは、小麦粉に「かんすい」を混ぜることでできます。
その仕組みは、かんすいの主成分「炭酸ナトリウム」や「炭酸カリウム」のアルカリ塩の効果によるものです。
小麦粉に「かんすい」を混ぜるとグルテンに作用して、コシと滑らかさが増します。
理由は、小麦粉のグルテンが「かんすい」というアルカリ性の物質によって収縮するからです。
さらに、小麦粉中のフラボノイド系色素が美味しそうな淡黄色に発色します。
なので、かんすいがないと中華麺にはならないのです。
かんすいを入れないと「うどん」の麺になります。
かんすいが無いと、食感などがまったく別物になりますね。
ラーメンの麺は2つの条件で決まる
麺の種類は2つの条件で決まります。
「麺の水分量」と「麺の太さ」です。
それぞれの条件でどのように違いが出るのかを説明します。
「麺の水分量」による分類
ラーメンの麺には、
- 多加水麺
- 低加水麺
があります。
水と小麦粉の配分量によって分かれます。
多加水麺
水の量を多めに使って練るため、食感はより弾力のあるものになります。
麺の水分が多いため、スープが麺に入り込みにくい(のびにくい)のが特徴です。
濃厚なスープ向けの麺です。
低加水麺
水分が少ない分、小麦粉の風味を感じますが、多加水麺より弾力が低くなります。
麺の水分が少ないので、スープが麺に入り込みやすい(のびやすい)のが特徴です。
繊細な味わいのスープ向きになります。
「麺の太さ」による分類
ラーメンの麺の太さには、明確な6種類の基準があります。
- 極細麺
- 細麺
- 中細麺
- 中太麺
- 太麺
- 極太麺
の6種類です。
これ太さの基準を「番手」と言います。
日本工業規格(JIS)で定められています。
番手とは、30mmの幅の原料から取れる麺の本数です。
例えば、1本2mm幅の麺は、30mm幅の原料から15本取れるので「15番手」になります。
番手 | 面幅 | 6種類の分類 | ご当地ラーメン |
30番手 | 1mm | ||
28番手 | 1.07mm | 極細麺 | 博多ラーメン |
26番手 | 1.15mm | 細麺 | 博多ラーメン 熊本ラーメン |
24番手 | 1.25mm | 中細麺 | 旭川ラーメン 東京ラーメン |
22番手 | 1.36mm | 中太麺 | 札幌ラーメン |
20番手 | 1.5mm | 中太麺 | |
18番手 | 1.67mm | 太麺 | 白河ラーメン |
16番手 | 1.88mm | 太麺 | 白河ラーメン |
15番手 | 2mm | 太麺 | |
14番手 | 2.12mm | 極太麺 | 喜多方ラーメン 佐野ラーメン |
12番手 | 2.5mm | 極太麺 | 喜多方ラーメン |
10番手 | 3mm | 極太麺 | |
9番手 | 3.33mm | ||
8番手 | 3.75mm | ||
7番手 | 4.29mm | ||
6番手 | 5mm | ||
5番手 | 6mm | ||
4番手 | 7.5mm | ||
3番手 | 10mm | ||
2番手 | 15mm | ||
1番手 | 30mm |
ストレート麺とちぢれ麺の違い
麺の形状には
- ストレート麺
- ちぢれ麺
の2種類があります。
この違いは、その製造方法の違いによって分かれます。
ストレート麺もちぢれ麺も、製造工程は全く同じです。
ただし、製麺の工程の最後に「切刃」で「麺を切り出す」工程があります。
切刃の出口にシリコンゴムを着けると、麺にゆがみが生じて「ちぢれ麺」になります。
また、麺にこだわる達人などは「手もみ麺」といって機会をつかわずに、ストレート麺を手で揉んでちぢれさせることもあります。
特別な手法なので一例として、福島・白河ラーメンを少し紹介します。
伝統的な白河の「そば打ち技法」を応用したのが、白河ラーメンのちぢれ麺と言われています。
その技法は、
- 木の棒で麺を打つ
- 包丁で切り出しす
- 手でもんで麺をちぢれを作る
というものです。
ラーメンスープと麺の組合せ
ラーメンの基本は、スープと麺の相性で決めます。
極端な例ですが、スープを麺の組合せの基本を紹介します。
濃い味のラーメンスープを使う場合
濃い味のラーメンスープを使う場合は「多加水麺」を使い用います。
理由は、低加水麺を使うと麺がスープを吸い過ぎて味が濃く感じるので、あまりスープを吸わない多加水麺を使います。
山形・酒田ラーメンでも使われています。
あっさり味のラーメンスープの場合
あっさり味のラーメンスープの場合は「低加水麺」を使います。
理由は、あっさりスープの場合は、逆にしっかりと麺にスープを吸わせることで美味しくなるため、スープをよく吸う低加水麺を使います。
北海道・旭川ラーメンでもつかわれています。
ストレート麺とちぢれ麺の使い方
ストレート麺は、麺とスープがよく絡み、逆に、ちぢれ麺は、麺とスープがあまり絡まみません。
え~?と思いますが、実はそうなんです。
ストレート麺はスープが滑り落ちてしまい、ちぢれ麺はくねくねしたところにスープが絡むイメージがあります。
理由は、ストレート麺は麺と麺との隙間が少ないことから、スープがよく吸い上がるので、その結果、絡みも良くなるのです。
実例では、ご当地・博多ラーメンは濃厚なスープがよく絡むようストレートの細麺が使われます。
また、喜多方ラーメンのようなあっさり系醤油スープには、コシが強い独特のちぢれ平打ち麺で「熟成多加水麺」が使われています。
まとめ
ここまで「ラーメン『麺の種類』の基礎知識、麺の太さ・形状・作り方・使い方を徹底解説」を紹介しました。
麺の作り方、麺の太さ、ストレート麺・ちぢれ麺、使うスープの種類の組合せが分かったのではないでしょうか。
ラーメン店に入ったら、店主はどんな組合せで個性を出したラーメンを作っているのかが、分かってきます。